報連相は、ビジネスで行われる報告、連絡、相談をほうれん草にかけた略語です。新人だけではなく、ビジネスに携わるすべての人が徹底すべき伝達手段といえます。
自分はきちんとできているつもりでも、上司や他の人から見たら物足りないと感じられることもあり、とても奥の深いコミュニケーションです。
また、報連相に加えて、円滑なコミュニケーションには「確認」という手段も欠かすことができません。
今回は、ホウレンソウとカクニならぬ、報連相と確認のポイントを紹介します。報連相と確認上手になって、周囲の信頼をゲットしましょう。
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報連相は、仕事の基本中の基本!評価に影響することも
新人研修で必ず耳にする「報連相」。でも、報連相が大事なのは新入社員だけではありません。
上司は、会社から与えられた方針や目標に沿って部下に仕事を任せています。もし部下に任せていた仕事の進捗が、上司の想定よりも下回っていた場合、上司はフォローしなくてはいけません。仕事を計画的かつ、円滑に回すためにも、報連相は誰にとっても重要なものです。
会社での年次が上がり仕事にも慣れてくると、「こちらが言わなくても分かっているはず」という甘えが生まれ、その結果、報連相もおざなりになりがちです。上司の立場からすると、いくら成績が良くても報連相ができない部下は、安心して仕事を任せられません。
今まで報連相をしてこなかった新入社員にとっては、職場での先輩や上司の報連相がお手本となります。良いお手本となれるよう、ここでおさらいしておきましょう。
報告:依頼された業務の経過や結果を関係者に伝えること
上司から仕事の依頼を受けた時、その仕事がどうなったのか、きちんと報告する義務が発生します。
報告は、報連相の中で最も重要といっても過言ではありません。ここでは、報告する際のポイントを6つ紹介します。
1.報告すべきかどうか、自分で勝手に判断しない!
例えば、仕事でミスをした、お客様に迷惑をかけた時など、上司がいち早く知っておくべきことがあります。そのまま放置しておくと「会社の責任問題」として、取り返しのつかない事態に陥ることもあります。問題が起こったら、すぐに報告を!
2.報告する時は、タイミングが大事!相手をよく観察して
報告は、早いに越したことはありませんが、タイミングを見計らうようにしましょう。相手が忙しそうにしている時や、誰かと話をしている時に割り込んでいては、「自分本位な人」と受け取られてしまうことも。
3.報告は簡潔に、分かりやすく伝える
だらだらと要領の得ない話は相手をイラっとさせるもの。報告する時は、相手の時間を頂いているという意識で、結論から先に述べるなどの工夫をしましょう。
また、事実に自分の解釈が混じると話がややこしくなります。事実は事実として伝え、自分の解釈には「私の解釈ですが」と前置きすると、相手に伝わりやすくなります。
4.報告する前の準備は、入念に
報告する内容について、相手が報告を聞いてどんな質問をしてくるのか想定し、きちんと答えられるようにしておきましょう。
5.報告する内容が多い時は、優先順位をつける
依頼された仕事を、その都度報告していたらきりがないという時は、報告する内容に優先順位をつけて、口頭で報告すること、メールで報告することに分けておきます。
6.時間がかかる仕事は、経過報告も怠らない
完了まで時間のかかる仕事は、経過報告をします。人によっては、その仕事が終わるまで報告をしない人もいますが、なかなか報告が上がってこない時、相手は今どういう状況なのかと不安になります。
もし判断が間違っていたら、早々に軌道修正もできるので、経過報告は入れるようにしておきましょう。
連絡:起きた事実を自分の解釈をつけずに伝えること
自分が知り得た情報で、上司や他部署が知ることで相手の仕事がスムーズになると思われるものは、積極的に連絡・共有するようにします。
仕事で、「知っていたなら、教えてくれればいいのに」と思ったことはありませんか?情報を周りに伝えられない人は、相手がどういう情報を求めているのか気づいていないのかもしれません。
また、組織図などで社内の関係図を確認しておきましょう。相手にとって有益な情報を発信しておくとあなたの信頼度が増し、いざという時に快くフォローしてもらえたり、自分の仕事がしやすくなることもあります。
連絡する際のポイントは3つです。
1.連絡をしたという記録を残す
対面や電話など、口頭で伝えた場合は、念のためメモやメールでも連絡をしておくと、行き違いや認識違いを防ぐことができます。
2.あいまいな表現は使わない
連絡は事実を自分の解釈なしで伝えるものです。誤解を招くような表現や話し方は避けましょう。
3.メール連絡をするときはCCの乱用に注意!
メール機能で便利なのがCC(カーボンコピー)です。例えば、取引先へのメール内容などを上司に知っておいてほしい時に、上司をCCに入れて使いますが、内容によっては、「なぜ私がCCに?」というメールがあります。CCのメールが大量に来ると、相手も確認するのが大変です。
相談とは、判断に迷った時に関係者にアドバイスをもらうこと
仕事の途中でやり方が分からなくなった時や判断に迷う時は、上司や先輩に相談し判断を仰ぎます。自己判断は、お客様や会社に迷惑をかけ、取り返しのつかないことになる可能性もあるので要注意です。
もし、要領の悪いやり方をしてしまっていたとしても、相談してアドバイスがもらえれば気づくことができます。また、相談は上司や先輩との距離をぐっと縮められるチャンスでもあります。是非、積極的に相談するようにしましょう。
相談は時間がかかることが多いので、報告のポイントと同様に、相談するタイミングや用件の分かりやすさを意識しましょう。その他、ポイントを3つ紹介します。
1.相談相手が分からない時は、枕詞を使う
相談する相手が、誰が的確なのか分からない時は、「□□さんに伺うことではないのかもしれませんが・・」と枕詞を使ってみましょう。
例え担当ではなくても知っていれば答えてもらえますし、次からは□□さんに聞いてみてと教えてくれるかもしれません。
2.相談する時は、自分の意見も持っていく
この先、どうやって進めていけばよいのかわからない時、何の考えもないまま丸腰で相談に行ってしまうと、普段から何も考えていない人だと思われてしまいます。
「この先、どう進めたらいいんでしょうか?」
ではなく、
「この先、このやり方があると思うのですが、他に良い方法はありますか?」
というように、自分なりの意見も踏まえて相談すると、前向きな姿勢に受け取られます。
3.納期に余裕をもって早めに相談する
仕事の進捗具合が納期通りにいかないと判断した場合は、早急に経過報告とともに、上司や先輩に相談します。
納期ぎりぎりになって「どうしたらよいですか」と相談されても、相手も時間をかけることが難しい場合もあります。自分の仕事の影響の範囲や、後工程の人のことも考えて行動するようにしましょう。
コミュニケーションミスの元凶は確認不足?思い込みが一番危険
報連相は仕事の依頼を受けた後や、仕事をしている最中に発生するものですが、確認は仕事を受ける前に発生するものです。仕事の目的や方法、そもそもの前提などが会話から抜け落ちてしまうと、それが後々の仕事の失敗につながります。
確認もせずに「これで合ってるはず」と思い込んで進めてしまうと、それが間違っていた時、二度手間、三度手間になりかねません。
意思疎通のできる部下は上司を安心させます。少しでもコミュニケーションミスを防ぎ、仕事の生産性を上げる意味でも、労力を惜しまず、確認は欠かさないようにしましょう。
確認する際のポイントを4つ紹介します。
1.確認する前に、目的を押さえる
仕事の依頼を受ける時は、「これは何のためにやるのか」と、目的を押さえておくと、不足する情報にも気づけ、仕事に取り掛かる前に確認することができます。また、新しいアイデアや方法が見つかるかもしれません。
2.依頼を受ける時は、5W3Hで確認する
仕事の依頼を受ける時は、5W3Hのフレームワークを使うと情報の抜け漏れを防ぐことができます。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- Why(なぜ)
- What(何を)
- How(どうする)
- How Many(いくつ)
- How Much(いくら)
3.念のための確認で、布石を打つ
同じことを何度も聞くのは失礼ですが、念のための確認はいくらあっても困りません。もし間違っていた場合、効率が悪いからです。
少しでも「あれ?」と思うことがあれば、仕事の途中でも「念のための確認」をした方が、仕事をスマートに進められます。
「課長、念のための確認ですけど」と、確認に来られたら、上司も悪い気はしないはず。「よく気がついたね」と思ってくれるのではないでしょうか。
4.仕事が終わったかを確認してから報告する
どこまでが仕事の範囲かは、人それぞれ、認識の違いがあるかもしれません。
例えば、頼まれた荷物を宅配業者に依頼したとき、上司に送ったと報告することは経過報告となり、インターネットで追跡番号を照合したり、相手先に無事に届いているかを確認したうえで報告するところまでが仕事の範囲です。
著者は過去、宅配業者側のトラブルで、取引先に送る荷物を紛失されたことがありました。追跡していたので異変に気づくことができ、荷物も無事見つかり届けてもらえましたが、送ったという報告で仕事を終えていたら、荷物は指定日に届いていなかったかもしれません。
上司がイラっとする、残念なホウレンソウとカクニ6選
あなたの報告・連絡・相談・確認は大丈夫でしょうか?上司にイラっとされていないか、チェックしてみてください。
1.帰社して早々に、急ぎでもない案件の報告をされる
帰社した後は、お手洗いやメールのチェック、一息つく時間を持ちたいなど、相手側の都合があるかもしれません。相手の様子を確かめてから報告にいきましょう。
2.仕事が終わっても報告がない
上司の中には、どんなに些細なことでも、報告が遅いとやきもきする上司がいます。報告するまでが仕事と捉え、上司から「頼んでおいた仕事は、できた?」と聞かれる前に報告しましょう。
3.報告をしなかった理由を自分(上司)のせいにされる
「忙しそうだったので、報告が遅れました。」という言い訳。確かに上司は忙しくしているかもしれません。時には話しかけづらい雰囲気の時もあります。でも、仕事を受けたからには、報告する義務を忘れてはいけません。
4.連絡が遅い。連絡するって言っていたのに連絡がない
「確認して連絡します。」と言われて一向に連絡が来ないことがあります。社内でこのような対応をしていると、お客様に対しても同じようなことをしているのでは、と不安になってしまいます。
5.相談が雑談になってしまっている
「相談があるというので、話を最後まで聞いてみたけど、結局、何の相談か分からなかった」なんてことも。相談事をだらだらと雑談のように話されると、相手も時間を割くのを惜しむようになってしまいます。
6.「聞いていないので、やっていません」と言われた
上司も人間です。依頼した仕事のやり方を事細かに全て伝えられるわけではありません。
言われたことだけをこなすのではなく、仕事の目的から考えて仕事をこなすと、もっと効率の良いやり方や、指示もれに気づけるようになってきます。
ホウレンソウとカクニは、受け手を想像することがポイント
このように、報告・連絡・相談・確認はビジネスでは欠かすことができません。
社内の円滑なコミュニケーションには、この情報を発信することによって何が良くなるか、発信しないことで誰か困らないかを想像することが大切です。結局は、受け手への気配りにつながってきます。
できていないと思うことがあったら、是非、今日から意識してみてくださいね。