年末調整は1年間(その年の1月から12月)の支払われた給与から差し引かれた所得税を清算する手続きです。所得税は毎月の給料を受け取る際にあらかじめ差し引かれています。年末調整を行うと、毎月の給与から差し引かれた所得税のうち、払いすぎた分を還付金として受け取ることができます。
そんな年末調整の際に、従業員が記入する主な書類が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「保険料控除兼配偶者特別控除申告書」です。
この2種類の書類のうち「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」について書き方などをご紹介します。
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扶養控除申告書とは?年末調整で提出書類の中のひとつ
扶養控除申告書とは正式名称「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と言います。この扶養控除申告書は、扶養している配偶者や親族がいることを申し出る書類です。この書類はそれぞれの家庭の事情に合わせて税金の減額申請をすることができます。
主な対象は
- 配偶者のいる人や子供がいる人
- 親の面倒を見ている人
があげられます。控除の種類は
- 配偶者控除や扶養控除
- 障害者控除(特別障害者含む)
- 寡婦控除(特定の寡夫含む)
- 寡夫控除
- 勤労学生控除
などさまざまな種類があります。
税金で良く耳にする控除!配偶者控除と扶養控除とは
税金の控除でよく耳にするのは配偶者控除と扶養控除です。
配偶者控除とは
配偶者控除とは、所得のない、あるいは所得の少ない配偶者を持つ人の税金を安くする制度を言います。夫がいる方で、パート職などで平成30年1月~12月の1年間の年収が103万以下であれば控除内の対象になります。年収が100万以下であれば、妻の住民税はかかりません。しかし、130万円をこえると社会保険と年金の負担がかかります。
103万超えから201万円未満までは、「配偶者特別控除」にあたり、段階的に課税されます。
扶養控除とは
扶養控除とは16歳以上の扶養親族がいる場合に受けられる所得の控除のことを言います。
扶養親族に該当する人の範囲はその年の12月31日の現状で下記4つの要件のすべてに当てはまる人のことを言います。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
平成31年度の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の様式を6つに分類して説明していきます。
- 税務署名等、会社及び本人情報など
- 源泉控除対象配偶者
- 控除対象扶養親族(16歳以上)
- 障害者、賓婦・特別の賓婦・賓夫、勤労学生
- 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
- 16歳未満の扶養親族(住民税に関する事項)
【書き方その1】税務署名等、会社及び本人情報など
税務署名や会社、本人の情報を記入する欄になります。
- 税務署名
- 会社の所在地の所轄税務署名を記入します。
- 市町村名
- 提出者本人が住んでいる市町村名を記入します。
- 給与の支払欄
- この欄は会社側が記入するため記入は不要になります。
本人情報
- あなたの氏名
- あなたの個人番号
- あなたの住所または居所
- あなたの生年月日
- 世帯主の氏名
- あなたとの続柄
- 配偶者の有無
- 従たる給与についての扶養控除申告書の提出
すべての記入をします。この時の注意点は
- マイナンバーの記入
- 住所または居所
です。
住所または居所
住所は、その年の1月1日現在の住所を記入します。そして、住所または居所とは実際に住んでいる場所を記入しますので、必ずしも住民票の記載地とは限りません。
【書き方その2】源泉控除対象配偶者
源泉控除対象配偶者の欄には対象者がいた場合に記入します。
- 氏名
- 源泉控除対象配偶者の氏名を記入します。
- 個人番号
- 源泉控除対象配偶者のマイナンバーを記入します。
- 生年月日
- 源泉控除対象配偶者の生年月日を記入します。
- 所得の見積額
- 源泉控除対象配偶者の1年間の予想所得金額を記入します。
- 住所又は居所
- 源泉控除対象配偶者の住所を記入します。
- 異動月日及び自由
- 扶養控除等申告書の提出度に、異動があった場合のみに記入をします。
扶養控除等申告書を提出本人の合計所得金額が900万円以下と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が85万円以下の人。
青色事業従事者として給与の支払いを受ける人および白色事業専従者は除きます。
【書き方その3】控除対象扶養親族(16歳以上)
16歳以上の控除対象扶養親族がいる場合に記入します。
※その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人が対象です。
- 氏名
- 16歳以上の扶養親族の氏名を記入します。
- 個人番号
- 16歳以上の扶養親族のマイナンバーを記入します。
- あなたとの続柄
- 提出者本人との続柄を記入します。
- 生年月日
- 16歳以上の扶養親族の生年月日を記入します。
- 老人扶養親族
- 老人扶養親族(70歳以上の扶養親族のことを言う)と同居している場合はチェックを入れます。もし同居していない場合はその他にチェックを入れます。
- 特定扶養親族
- 特定扶養親族(19歳から22歳までの扶養親族を言う)がいる場合にはチェックを記入します。
- 所得の見積額
- 16歳以上の扶養親族の1年間の予想所得金額を記入します。
- 非移住者である親族
- 16歳以上の扶養親族である対象者が非移住(日本に住んでいない場合)の場合は〇を記入します。
- 生計を一にする事実
- 16歳以上の非移住者である扶養親族に、生活費や学費などの送金をした金額を記入します。
- 住所又は居所
- 16歳以上の扶養親族の住所を記入します。この時、非移住者の場合は実際に住んでいる海外の住所を記入します。
【書き方その4】障害者、賓婦・特別の賓婦・賓夫、勤労学生
本人または配偶者や扶養親族が障害者や賓婦などに該当する場合に記入をします。
障害者の場合
左の障害者にチェックを入れ、障害者の下記種別の該当にチェックと人数を入れます。
- 本人
- 同一生計配偶者
- 扶養親族
「左の内容」欄に
- 氏名(配偶者、扶養親族の場合)
- 障害者手帳の交付日
- 障害の等級
を記入します。
提出者本人が賓婦・賓夫または勤労学生の場合
該当の事項にチェックをします。勤労学生の場合は照明する書類を添付して会社へ提出します。
- 特定の学校の学生、生徒であること
- 給与所得などの勤労によって所得がある人
- 合計所得金額が65万以下で勤労に基づく所得以外が10万円以下の所得であること
【書き方その5】他の所得者が控除を受ける扶養親族等
この欄は、扶養親族の2重控除を防ぐための記入欄です。
最も多いのが、夫婦共働きの場合です。子供や親、夫と妻をどちらの扶養に入れているかを明確にするために記入します。
- 氏名
- 扶養親族の氏名を記入します。
- あなたとの続柄
- 提出者との続柄を記入します。
- 生年月日
- 扶養親族の生年月日を記入します。
- 住所又は居所
- 扶養親族の住所又は居所を記入します。
- 控除を受ける他の所得者
- 控除を受ける他の所得者を記入します。
- 異動月日及び事由
- 異動があった場合のみ記入します。
【書き方その6】16歳未満の扶養親族(住民税に関する事項)
16歳未満の子供扶養親族がいる場合に記入します。
- 氏名
- 16歳未満の扶養親族の氏名を記入します
- 個人番号
- 16歳未満の扶養親族のマイナンバーを記入します。
- あなたとの続柄
- 提出者本人との続柄を記入します。
- 生年月日
- 16歳未満の扶養親族の生年月日を記入します。
- 住所又は居所
- 16歳未満の扶養親族の住所を記入します。
- 控除対象外国扶養親族
- 16歳未満の扶養親族が非移住者の場合に〇をします。
- 所得の見積額
- 16歳未満の扶養親族の1年間の所得の予想金額を記入します。
書類をスムーズに作成するためにも内容の理解を深めよう!
年に1度の年末調整に必ず必要になる書類のひとつでもある扶養控除申告は、内容を理解しないままなんとなく記入していた方も多いと思います。年末の忙しい時にはなおさらです。意味を理解し、一度しっかり記入した書類のコピーを取っておくことで、次年度も慌てず、参考にしながらスムーズに記入することができます。
ぜひこの機会に内容の理解を深め、正しく控除を受け取りましょう!