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育休取得か、退職か?メリット・デメリットと育休制度の概要

更新

働く女性が妊娠すると、考えるのが「育休」です。
平成 28 年度雇用均等基本調査によれば、働く女性の育児休業取得率は約81.8%。職場復帰を前提に産後育児をする人はたくさんいます。
ですが、正直言って、育休を取得して職場復帰するか、いっそのこと出産退職をした方がいいのか、悩んでいる人も多いと思います。
そこで今回は、育児休業制度の概要と、メリット・デメリットについてお話します。「育休中に退職することになったらどうなるの?」といった疑問にもお答えします。

育児休業制度の概要について

「育休」って誰でも一度は聞いたことありますよね。でも、詳しく知っている人は、ごく一部。なんとなく分かったような気になっていませんか?
実は、育児休業と育児休暇には違いがあったり、育児休業給付金を貰うためには条件があったり、育児休業の取得期間が延長される制度もあったり。
もう少し詳しく知っていると、働き方や子育ての選択肢が広がるかもしれません。まずは、育児休業制度についてお話します。

「育児休業」と「育児休暇」の違い

「育児休業」と「育児休暇」、同じような意味で使いがちですが、実は違うんです。「育児休業」とは、育児・介護休業法で定められた休みのことで、「育児休暇」とは各企業が独自に認めた休みのこと。
会社によっては、法律で認められた「育児休業」に加えて、独自に「育児休暇」をプラスして取得できるところもあるようです。

育児休業を取得できる人はどんな人?

原則としては、満1歳未満の子を育てながら働いている人が対象です。例外として、保育所に入れない場合などは、2歳未満までOKということもありますし、条件を満たせば期間が延長されることもあります。
「子ども」とは、実子でなくても養子や里親委託された子も含みます。また取得するのに性別は関係ありません。男性でも女性でも育児休業を取得することは認められています。
ただし、入社1年未満の人や有期契約で働いている人は、取得するための条件があったり、労使協定により育児休業制度の対象外となることがありますので、注意しましょう。

■労使協定により対象外になる可能性のある人
  • 入社1年未満の労働者
  • 申出の日から1年以内に雇用期間が終了する労働者(1歳6か月までの育児休業の場合は、6か月以内に雇用期間が終了する労働者)
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
    ※配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者は、労使協定を締結しても対象外にできない

パパとママ、二人が育休取得すると育休期間がプラスされる!

これは、「パパ・ママ育休プラス」という制度で、パパとママ、二人とも育児休業を取得する場合、原則1歳までの育休期間が、1歳2か月にまで延長されます。
ただし、パパもママも、それぞれ育児休業を取得できる期間は1年間(ママは産後休業も含めて1年間)です。ママとパパが交代で育児休業を取得したり、期間をずらす等して、1年2か月を有効に活用しましょう。

条件を満たせば、パパは2回育休を取得できる!

「パパ休暇」という制度があり、ママの産後8週間以内の期間に、パパが育児休業を取得した場合、特別な事情がなくても、申出により、パパは再度育児休業取得が可能です。
産後すぐにパパも育休を取ったけど、仕事が忙しくて、少ししか取れなかった!ママが体調を崩している!子どもともっと過ごしたい!
そんな思いを叶えるのが「パパ休暇」。ぜひ制度を活用して2回目の育児休業を利用しましょう。

「育児休業給付金」を受け取るには条件があります!

先ほどお伝えしたように、「育児休業」は法律で定められた休みで、対象となる人は誰でも休みを取ることができますが、「育児休業給付金」というお金を受け取るには、また別の条件があるんです。
育児休業給付金は、雇用保険の給付の一つなので、雇用保険の被保険者期間が必要になります。

■育児休業給付金の受給要件
①育児休業開始日前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要。
※本人が病気だったり、第一子で育休取得中などの場合は、受給要件が緩和されるケースもあります。
②有期雇用労働者の場合は、別途2つの条件を満たす必要があります。
・育児休業開始時において、同じ事業主の下で1年以上働いていること
・子どもが1歳6か月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでないこと

「育児休業給付金」っていくらもらえるの?

育児休業給付金の支給額は、休業開始から6か月を境に異なります。正確な数字はハローワークに提出する書類によって計算されますが、目安としては、6か月までは賃金月額の67%、6か月以降は50%が支給されます。
「なんだ67%かぁ」と思った人もいますよね。ですが、手取り額で考えると結構高いんですよ。育児休業期間中は社会保険料が免除になったり、無給であれば所得税や雇用保険料も控除されないということを考えると、育休開始6か月までは、実質休業前の手取り額の80%程をもらえることになります。
育休は収入が減るから、家計に負担だと思っている人でも、通常の手取り額の80%と考えると育休取得に前向きになる人も多いはず。ママだけでなく、パパの育休も検討してみる価値はありますよね。

■育児休業給付金の概算方法

下記のような計算でおおよその支給額が分かります。

【育児休業給付金の1か月あたりの支給相当額】
休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育休開始6か月経過後は50%)
※賃金日額とは、原則、育児休業開始前6ヵ月の賃金を180で除した額をいいます。

参考までに、厚生労働省が発表している支給額の例もご紹介します。あくまで例なので、詳しくはハローワークにお問い合わせください。

〈平均して給与月額15万円程度の場合〉
  • 育児休業開始から6か月間の支給額:月額10万円程度
  • 6か月経過後の支給額:月額7.5万円程度
〈平均して給与月額20万円程度の場合〉
  • 育児休業開始から6か月間の支給額:月額13.4万円程度
  • 6か月経過後の支給額:月額10万円程度
〈平均して給与月額30万円程度の場合〉
  • 育児休業開始から6か月間の支給額:月額20.1万円程度
  • 6か月経過後の支給額:月額15万円程度

「育児休業給付金」の申請手続きって誰がやるの?

基本的には、勤めている会社が行うので、ママやパパが自分で手続きをする必要はありません。
ですが、自分で申請手続きをしたいという人は、必要書類を用意し、在職中の会社を管轄するハローワークへ行けば、被保険者本人が申請することも可能です。

育休取得か?退職か?メリットとデメリット

子育て方針や職場の事情、家計の状況、ママのキャリアプランなど、産後の育児方法を決定する要素はたくさんあります。育児休業を取得するかどうか迷っちゃいますよね。
産後の働き方の選択は、主に3パターンあると思います。参考までに、それぞれのパターンで考えられるメリットとデメリットをまとめてみました。

〈選択その1〉育休を取得して、約1年後に仕事復帰

産後に育児休業を取得して、約1年後に職場復帰する人はとても多いですよね。実際、厚生労働省の発表では、80%以上の方が育休を取得しているというデータもあるほど。
年々、育児休業を取得しやすい会社も増え、大企業によっては、子どもが3歳まで育児休業期間を取得できるケースもあるようです。
一定期間職場を離れるため、デメリットもありますが、赤ちゃんのためにもママのためにも良い点がたくさんあります。「育児と仕事、どちらも甲乙つけがたい!」という人にとっては、良い選択かもしれません。

メリット デメリット
  • 育休中は、赤ちゃんの側にいて、育児に専念できる。
  • 産後のママの体を労われる。
  • 職場復帰が約束されている。
  • 育休中も育児休業給付金が貰える。
  • 育休中に、育児に慣れてきて余裕が出たら、スキルアップや趣味のために時間を使える。
  • 育休中は社会保険料が免除になる
  • 約1年間職場を離れるため、仕事内容や職場環境が変わることがある。
  • 育児休業給付金をもらえても、休業前と比べると収入が減ってしまう。
  • 職場復帰までに、保育園を探し、入園手続きをしなければならない。

〈選択その2〉育休を取得せずに、出産前に退職

「産後は当分赤ちゃんの側を離れたくない」、「今の職場に不満がある」、「家計のことは、なんとかなる」。そのような人は、出産前に退職するという選択もいいかもしれません。
育休を取得しても、復職予定があると、どうしても仕事のことを考えてしまいます。復帰のために保育園も探さなければなりません。ですが、出産前に退職してしまえば、産後の不安材料は育児のことだけ。出産を機に円満退職という道もアリですよね。
ただ、育児休業給付金はもらえないので、当面の収入はなくなってしまいます。家計に不安がある場合、そこが難点。子どもを預ける必要がないため、保育料がかからず支出は減りますが、もし夫の扶養に入れない場合は、自分で国民健康保険料や国民年金を支払う必要があります。
家計に不安を抱えている人で、出産退職を検討している人は、育休取得と退職、それぞれのケースで、収入と支出を試算してみましょう
保育料は世帯収入やお住まいの地域によっても違いますし、旦那さんの職業によって扶養に入れるかどうかも違います。働くことで外食費が増えたり、被服費が増えたりする場合もあります。
一方、退職後、失業保険の延長手続きをすれば、後々失業手当を受け取れる可能性があったり、旦那さんの所得税が配偶者控除で節税できたり、収入面でプラスになることもあります。旦那さんの会社によっては、扶養に入れば扶養手当を支給されるケースもありますね。
人それぞれ状況が違いますので、全ての人に共通する試算はできません。ですので、自分達家族にとって最善と思われる選択をするために、ぜひ試算してみましょう。

メリット デメリット
  • 仕事を忘れて、育児に専念でき、赤ちゃんの側にいられる。
  • 産後のママの体を労われる。
  • 育児に慣れてきて余裕が出たら、スキルアップや趣味のために時間を使える
  • 当分、保育園探しをしなくていい。
  • 保育料がかからない。
  • 失業保険の受給期間延長の手続きをすれば、後々、失業手当を受け取れる。
  • 今の職場環境に不満がある場合、出産が良い機会となり、円満退職できる。
  • 夫の扶養に入れば、夫は配偶者控除が受けられ夫の税金が安くなる
  • 当面の収入はゼロになる
  • 夫の会社の社会保険に入れない場合、国民健康保険料や国民年金を自分で支払う必要がある
  • キャリアが途切れてしまい、社会復帰に不安を感じることも。
  • 働けるようになっても、職場を改めて探さなければならない。

〈選択その3〉育休を取得せずに、産後すぐに職場復帰

産後すぐに職場に復帰する一番のメリットは、収入が比較的安定していることですよね。キャリアブランクもなく、職場に負担をかけないという点も良いところ。
ただ、やっぱり色々な面で負担が大きいのがネック。出産前から保育園を探したり、産後の弱った体ですぐに働くため、体力的な負担はもちろん、生まれて間もない赤ちゃんと離れるので不安や淋しさなど、精神的な負担もあります。
また、初めての出産の場合、産後どのような状態か予測できず、職場復帰に相当な不安を抱える人も多いです。
家計に関して言えば、育休を取得せずに働くため、収入は安定していますが、時短勤務の場合、必然的にお給料は減りますし、これまで残業代を支給されていた人は残業もできなくなるため、どうしても出産前より手取額が減ってしまうようです。それに加え、産後すぐ保育園に預けるため、育休取得と比べ、保育料を支払う年数は増えます。
「家計のために」と思い、産後すぐに職場復帰をする方は、保育料がいくらかかるのか、また育児休業給付金をいくらもらえるのか等、各々のケースに合わせて試算し、よく調べてから決断しないと、働き損になってしまうケースもあるので注意しましょう。
仕事の都合上、育休を取りづらい環境にあり、やむを得ず産後すぐに職場復帰する方もいると思いますが、慣れない育児と仕事の両立は想像以上に大変なこともあります。家族の協力や自治体の育児支援も活用しながら、よく考えて、産後の備えをしておくと安心です。
自治体にはファミリーサポートや病児保育など様々な支援制度があります。ぜひ調べてみてください。

メリット デメリット
  • 仕事をやめないため、収入は比較的安定している。
  • すぐに復職するので、職場環境は変わりづらい。
  • 職場の人に、出産をお祝いしてもらえる
  • 仕事に穴をあけないので、職場の人に歓迎される。
  • 産休明けのママの体調が予測できず、職場復帰が不安。
  • 育児と仕事の両立が体力的にも精神的にも大変。自由時間がほぼゼロ。
  • 生後間もない赤ちゃんと離れ離れになるのは辛い。
  • 産前から保育園探しをしなければならない。
  • 夫や両親等、周囲の協力が欠かせない。
  • あってほしくはないが、時短勤務等をするため、会社で同僚から冷たい視線を感じる場合も。
  • 育児休業給付金を貰えない。
  • 時短勤務や残業代等を考えると、手取り額は産前より減ってしまう。

育休中の退職決断は非常識?貰った育児休業給付金はどうなる?!

「職場に育児休業を申し出て、育休を取ったけど、思った以上に育児が大変!これでは、職場復帰なんて無理。退職したい。」そう思う人もいますよね。
でも、育児休業給付金ももらっているし、会社にも育休明けに職場復帰すると言っているから、なんだか後ろめたいような気が・・・。職場によっては「育休中に退職なんて非常識だ!」なんて言う人もいるし。本当に悩んでしまいますよね。
育休中の退職について、育休制度上の見解や、退職の伝え方などをまとめてみました。悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

育休当初から退職を予定していたら、給付金はもらえません。

「育児休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば、育児休業給付の支給対象となりません」厚生労働省では、育児休業給付金の受給と退職の関係についてこのような回答を出しています。
そもそも、育児休業給付金は、職場復帰を前提とした給付金なので、当たり前といえば当たり前ですね。これからの子育て世代のためにも、決して悪用しないようにしてください。

受給資格確認後に退職する場合、期間限定で受給できます。

育休当初から退職を予定している場合はダメでしたが、育児休業給付金の受給資格確認後に、退職することになった場合は、退職日を含む支給単位期間の一つ前の支給単位期間までは支給対象になります。支給単位期間の末日で退職した場合は当該期間も含みます。そして、それまで受給した分を返金する必要はありません。

退職のタイミングは人それぞれ。非常識と言われない辞め方

就職も退職も、働く人のライフプランによって各々のタイミングで決めるものです。だから、育休中に退職せざるを得ないと思い、よく考えた結果、その決断に至ったら、自らの決断を優先させていいと思います。
ただし、「非常識だ」とか、「育休制度を使ったのに道義的に良くない」とかいう意見も少なからずあるはず。だからこそ、退職理由は職場の人が納得できるよう、きちんと伝えることをおすすめします。
子どもが産まれてから分かることってたくさんありますよね。育児の大変さも、その子の性格や家庭の状況によって、人それぞれ。育休中に状況が変わることなんて、いくらでもあります。
それに、職場復帰を前提に育休を取得した方なら、本当は働きたいはずです。働きたい気持ちを抑えてでも、退職しようと決断した人であれば、きっと正当な理由があります。
会社には、職場復帰できない状況や、その決断に至った理由をきちんと説明すれば、非常識だなんて言わずに、きっと分かってくれるはずです。それでもなお、冷たい言葉をかけるような人がいたら、そんな言葉は気にしなくていいですよ。

正解はない。どの道を選んでも、それが正解!

今回は、育休取得か退職か、悩んでいる人に向けてお話しました。
家計や育児の状況は人それぞれです。メリットとデメリットもまとめましたが、いくらメリットが多いからと言って、それが正解というわけではないですよね。
ママやパパの状況やお子さんの性格、両親や周りの協力体制などによって、働き方や育児の選択はさまざまで、何がベストな選択かは分かりません。
どの道を選んだとしても、よく考えて決断した結果であれば、それが正解なのかなと思います。
自分達家族にとって、大切なものは何かを考え、家計の状況も踏まえて、色々な視点で検討してみましょう。

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