辞表を書いたことのある経験は、そんなにないですよね。どんな用紙を使えばいいのか、正式な書き方があるのか、ちょっと人には聞きづらいこともあると思います。
そこで今回は、スムーズに受け取ってもらえるよう、正しい辞表の書き方についてお話しします。
あわせて、退職願や退職届との違いなどもご紹介します。
どれも同じようなものに見えるのですが、実は内容が違うのです。間違って出して恥をかかないようにしたいものです。
辞表、退職届、退職願。どれを出すべきなの?
辞表、退職届など呼び名がいくつかあるので、退職する時にはどれを出せばいいのか迷ってしまいますね。
実は、辞表というのは一般社員は出さないものなのです。
- 経営者
- 役員
- 公務員
など、会社と労働契約を結んでいない場合に提出書する書類です。
公務員は雇用という形で働いていないので退職にはなりません。
また、役員などは会社に使用されているわけではなく雇用社側の立場なので、退職届ではなく「辞表」になるのです。
退職届と退職願
これは文字を見るとわかりますが、退職願はまだお願いをしている段階です。
退職したいのですが、という希望を伝える書類ですね。雇用関係の解除を申し出ているだけ、ということになります。
ですから、会社に提出して承諾、受理されて初めて退職が出来るようになります。相手が受理するまではまだ退職が決定していないので、撤回することも可能です。
退職届はお願いではなく「退職します」という明確な意思表示になるので、受理された段階で退職が確定します。
退職届を撤回することは基本的にできませんので、辞めるかどうか迷っている段階で出すべきものではありません。
辞表の正しい書き方や書式など。文例付きで解説
ではあなたが使用者の立場にいるとして、辞表の正しい書き方などをご紹介します。
まずは自社のルールをチェック
一般的なルールはあるものの、やはり自社のルールを先に確認した方がいいでしょう。
たいていは就業規則などに書いてありますので、あらかじめ見ておいてください。
もし所定の様式が決められている場合はその通りにします。
特に決められていないなら、白無地の便せんでいいでしょう。
用紙の大きさなど
今は会社で使う書類はA4サイズであることが多いので、特に決まりがなければA4白無地の用紙を用意しましょう。
パソコンで作ってもいい?
辞表の雛型など、検索するとたくさん出てきます。そのまま印刷しても悪くはないのですが、辞表はできれば手書きの方が良いとされています。
会社に出す最後の書類ですから、丁寧に気持ちを込めて手で書いてみてください。
よほど字に自信がないという場合を除き、基本的には手書きで作成したほうが良いでしょう。
修正液は使わない
手書きでうっかり字を間違えてしまった、という時には修正液は使いません。
もう一度新しい用紙に書き直してください。
縦書きが一般的
最近では横書きで書く人も増えているようですが、縦書きにするのが一般的です。
宛名
宛名は会社の社長(代表者名)になります。
提出するのは直属の上司かもしれませんが、会社に提出する書類ですので、社長名が正しいです。
敬称は
- 様
- 殿
などを使ってください。
辞める理由
会社を辞める理由は、こまごまと書く必要はありません。
詳細を書く必要はないのですが、一応理由があって辞めるという体裁にするため、このように記載します。
辞める日付
記載する退職年月日ですが、話し合って決まっている場合にはその日を書きます。
引き継ぎなどもあり、まだ正確に決まっていない場合は、退職希望月の月末を書いておくといいでしょう。
もし調整が長引いてはっきりと決まるのがいつだかわからないという場合は、「平成○年○月○日」と空欄にして書かずに提出するのもありです。
退職日と同時に提出日も書いておきます。これは辞表を書いた日ではなく、実際に提出する日を書きます。
末尾に署名、印鑑
最後に署名、捺印をして終了です。
印鑑は三文判でもいいのですが、シャチハタではなく朱肉を使う印鑑の方が望ましいです。
縦書きの例文
縦書きの場合は以下のように書きます。
- 右端中央に「退職届」と書きます(カギかっこは書かない)
- 一行目の一番下に「私儀(私こと、私事)」と書きます。
- 退職理由を書きます。(一身上の都合により〜)
- 提出年月日を書きます。
- 少し下げて、自分の部署、氏名を書き印鑑を押します。
- 左上に会社名、社長名(○○株式会社 代表取締役社長 田中一郎殿)を書きます。
「私儀」と書くのは謙譲の意味を表し、このような書類の決まり文句です。
横書きの例文
次は横書きの例文です。
- 中央の上に「辞表」と書きます(かぎかっこは書かない)。
- 右上に提出年月日を元号で書きます(平成○年○月○日)
- 左上に会社名と社長名を書きます(○○株式会社 代表取締役社長 田中一郎殿)
- その右下に自分の部署、役職名、氏名を書いて印を押します。
- 右端に「私儀、(私事、私こと)」と書きます。
- 中央にバランスよく退職理由(一身上の都合により〜)を書きます。
- 右端に「以上」と書きます。
全体にバランスよくなるように気をつけてください。
折り方
辞表は中が見えないように、三つ折りにするのが基本です。
まず文書を正面に向けて置き、下の1/3を折ります。それから上の1/3をかぶせるようにしております。
封筒に入れて渡すこと
辞表はそのままむき出しのまま渡しません。封筒に入れて、表書きもして渡します。
封筒は茶封筒ではなく白無地の封筒にします。郵送するわけではないので、郵便番号欄などはない方がいいでしょう。
表には中央に「辞表」と書き、裏面に自分の役職名と氏名を書いておきます。
封はしてもしなくても良いのですが、より丁寧にするならば封をしてから「〆」と書いておくと良いでしょう。
退職届や退職願の正しい書き方
辞表を書こうと思っていたのに、私が出すべきは辞表ではなく「退職届」だったという場合は、以下の書き方を参考にしてください。
縦書きが一般的
退職願も退職届も、横書きでも間違いではありませんが、基本的には縦書きにします。
退職願、退職届の書き方
辞表のところで横書き、縦書きの書き方をご紹介しましたが、そのタイトルを「退職願(または退職届)に直すだけで十分です。
立場が違うことで提出する書類の名称が違うだけなので、基本的には同じ文面で大丈夫です。
「退職届」の場合は、「退職いたします」と言い切ってしまっても大丈夫です。
きちんと手順を踏んで、気持ちよく辞められるように
テレビドラマでは辞表を投げつけて会社を出ていくなどというシーンもありますが、あれはテレビだからです。
最後の書類くらい誠意を込めて書いて、きちんと手順を踏んで提出したいですね。
気持ちよく会社を後に出来るよう、恥ずかしくない辞表を作成してください。