働き方改革によってまた新たに出てきたハラスメントがあります。
通称「ジタハラ」、時短ハラスメントです。受けたことがあるという人もいるかもしれませんね。
2018年の流行語大賞にノミネートされたこともあり、すでに大きな社会問題となりつつあるようです。
時短ハラスメントとはどのようなハラスメントを指すのか、また、実際に受けた場合はどのようにすれば良いのか、対処法もあわせてお話しします。
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「定時に帰りなさい」という時短ハラスメントの問題
時短ハラスメントとは、
- 残業をしないで帰る
- 定時に退社する
というように、無駄な仕事をしないで帰りなさいといわれることです。
時短勤務をしたがためにハラスメントを受ける、というのではありません。
早く帰れるのですから労働者のためにはなりそうですが、定時退社するように言われることの、何が問題なのでしょうか。
表面的に労働時間を短くするだけ
労働時間が短くなるのは労働者にとって利益になるかというと、必ずしもそうとは言えません。
例えば9時から18時の間でできる、適正な量の仕事が与えられているのに無駄な残業は必要ないですよね。
しかし、明らかにその時間では終わらない仕事量であるにも関わらず、帰ることを強要されたらどうなるでしょうか。
結局は持ち帰って仕事をするか、昼休みも潰して仕事をするか。
実際の仕事量に見合わない、表面的に労働時間だけを減らしたということで、全く労働者のためにはなっていないのです。
適切な残業代が支払われない
ブラック企業は、今長時間労働が問題になっていることはわかっていますから、労働基準監督署にばれないように、労働者をこき使いたいわけです。
そこでこの時短ハラスメントが出てきたんですね。
- 社員を会社に残さないようにする
- しかし業務量は減らさない
- そうすれば残業代を支払わなくて済む
- 仕事が終わらなければ持ち帰りをさせる
などということが起こるのです。
どうすればいい?労働者側の時短ハラスメント対策8つ
長時間労働はよくありませんし、適切な残業代が支払われない時短ハラスメントも認めてはいけません。
適切な業務量で仕事をこなせるようになるにはどうすれば良いのでしょうか。
1.残業代は請求しよう
正規の勤務時間中に終わらないほどの仕事量があるならば、残業せざるを得ないですよね。
ですから、
- 休日出勤
- 早朝出勤
- 自宅への持ち帰り
など、残業した事実があるのであれば、残業代はきちんと請求しましょう。
何時から何時までどのような仕事をしたのかというメモや、パソコン、メールの記録も証拠になります。
2.仕事量の改善を要求する
頑張っても仕事が終わらないのは、能力不足か仕事量が多すぎるかのどちらかです。
でも、今まで毎日1〜2時間残業していた人が、仕事量が変わらないのに帰る時間だけ早くされても、それは仕事量が適切でない、ということになりますよね。
まずは業務量の積算をして、人員の配置と業務量が適切ではないということを説明し、改善を要求しましょう。
これは1人で出来ることではないので、周りの人とも協力して適切な仕事量にしてらうよう、求めていきましょう。
3.納期やノルマの見直しを要求する
ブラック企業は、帰る間際になって「これ、明日中に」などと納期の近い仕事をやらせようとすることがあります。
そういわれると持ち帰らざるを得なくなりますよね。それがサービス残業につながります。
ですから短すぎる納期は見直してもらう必要があります。
4.上司の上司に相談する
例えば直属の上司からジタハラを受けている場合は、その上司に相談してみましょう。
誰だって無駄な残業はしたくないですが、どうしても仕事が終わらない時は残業せざるを得ないこともあるはずです。
5.もっと効率化できないか考えてみる
ただし、自分の側でも仕事の効率化を考える必要があるでしょう。
- 決められた時間内で仕事をこなすにはどうすればいいのか
- 今やっていることに本当に無駄はないのか
- もっと効率化できる部分はないのか
こういったことも考えてみてください。
長時間労働は良くないという流れになっているのですから、今までの仕事のやり方ではダメですよ、といわれているわけです。
だったら、会社側を責めるだけでなく、自分の仕事のやり方を見直す必要も出てくるでしょう。
例えば、電話をしてしまえば済む用件をメールでしているとか。返事を待っている時間がもったいないかもしれないですね。
6.諦めて帰ろう
もし、人員配置、仕事量の配分の見直しなどをお願いしても応じてもらえない、残業代も支払われないというような状態であれば、諦めて帰るというのもひとつの方法です。
仕事が終わっていないと叱責されても、「できないものはできません」と毅然と対応することも必要でしょう。
7.残業代の未払いは労働基準監督署へ
サービス残業をさせることは違法です。
もし本当に仕事が終わらないのに帰宅を強制され、やむなく休日出勤をしているような場合は、当然残業代をもらわなくてはいけません。
持ち帰り残業についても同様です。帰り間際に「明日までに」と仕事を渡されるなど、持ち帰らざるを得ない状況で仕事をしているのであれば残業代は出ます。
それが支払われていないのであれば、労働基準監督署に相談しましょう。
8.ハラスメントの相談は労働局へ
労働基準監督署は労働基準法を守っているかどうかを監督、指導するところなので、ハラスメント自体の相談をしても困ってしまいます。
時短ハラスメント自体の相談をしたい場合は、都道府県の労働局の相談窓口が適しています。
仕事のやり方を見直すいい機会。仕事との関わり方を考える
本当に無理な量の仕事を与えられて早く帰るように言われるのは困りますが、残業を良しとしない風潮は有り難いものです。
日本では残業する人=頑張っている人、のような誤った認識を持っている人もいますから、定時までで仕事を終わらせられる方が優秀なのだという考え方にシフトしていくことは歓迎してもいいと思います。
会社側は社員の能力に見合った仕事量を与えることを考えるべきですし、社員は定時までにどうやって終わらせるかということを考える。
この二つがうまくかみ合えば、ワークライフバランスを整えていくことは可能だと思います。