近年、国際的にも注目されている日本のブラック企業問題。何と「過労死」は「KAROSHI」とそのまま日本語で通じるほど、日本人は働き過ぎというイメージがあるのだとか。
そこで今回は、海外の残業事情や残業への意識の違いについて、一緒に考えてみようと思います。
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日本の労働時間は、国際ランキングで見ると実は平均的
では国際的に見ると日本の労働時間はどうなっているのでしょうか。以下に2016年にOECD(経済協力開発機構)が調査した「世界の労働時間国別ランキング」(年間)をご紹介しましょう。
1位 メキシコ 2,255時間
2位 コスタリカ 2,212時間
3位 韓国 2,069時間
4位 ギリシャ 2,035時間
5位 ロシア 1,974時間
6位 チリ 1,974時間
7位 ポーランド 1,928時間
8位 ラトビア 1,910時間
9位 イスラエル 1,889時間
10位 リトアニア 1,885時間
日本の順位は1,713時間で、38か国中なんと22位。トップテンにも入っておらず、意外に世界的に見て平均的な長さの労働時間なのです。
ヨーロッパ諸国は労働時間が短い傾向にある
対してヨーロッパ諸国は最下位のドイツが1,356時間、37位のデンマークが1,408時間、36位のノルウェーが1,419時間と総じて労働時間が短い傾向にあります。
ヨーロッパ諸国も残業をしないわけではない
こうして見ると、ヨーロッパ諸国は残業がないのかと思われる人もいるかもしれません。しかし、まったく残業がないというわけではありません。忙しいときは日本と同じように残業もします。
ではなぜ、労働時間が日本よりずいぶん短くてすんでいるのでしょうか?一緒に考えてみましょう。
ヨーロッパ諸国が労働時間が短い理由とは?
では早速、ヨーロッパ諸国の労働時間が短い理由をいくつかご紹介していきましょう。
残業をした分は、別の日に代休が取れる
ベルギーでは労働した分、しっかり休むという考えが根付いています。有休の取得も義務付けられ、前日の就労から11時間空けなければ次の業務ができないというルールも定められています。
フレックスタイム制が浸透している
定時が決まっている企業が多い日本に比べ、海外では出社時間を個別に決められる「フレックスタイム制」がより多くの企業に浸透しています。
上記の労働時間ランキングで最下位だったドイツでは、フレックスタイム制を導入している企業の割合は全体の約3割。だらだら長く働くのではなく、短期間で集中して働き、生産性を上げるという考え方が浸透しています。
残業をした翌日は朝遅く出社したり、早めに退社して充分に休息を取るなど、ライフワークバランスを整えることが、パフォーマンスの向上にも繋がるということがよく分かるデータですね。
早出をしたり、仕事が残ったら自宅に持ち帰る人が多い
今ではだいぶ少なくなりましたが、退社後に「飲みにケーション」などと言って会社の人と飲みに行く日本とは違い、海外の人は仕事とプライベートをきっちり分け、仕事が終わると家族と過ごす時間を大切にします。
日本に比べて在宅勤務など柔軟な働き方が浸透しているのも、残業時間が少ない理由の一つかもしれませんね。
残業に対する考え方が、日本と海外ではまったく違う
最後に、海外と日本で決定的に違うのが、残業に対する捉え方です。
日本では残業をたくさんする人の方が仕事を頑張っているように見られ、定時で帰るとやる気がないと思われがち。定時で上がれるよう仕事を終わらせても、上司が先輩が残っていると帰りづらい雰囲気もありますよね。
また、残業代を稼ぐために、わざと定時内に終わらないよう仕事のペースを調整するという話もよく聞きます。
そのため、海外ではあまりみんな残業をやりたがりません。日本でも残業代目当てや何となく帰りにくいからという理由でだらだら残るのをやめれば、無駄な残業は減らすことができそうですね。
海外でも日本と同じような労働問題は存在する
今までの記事を見ていると、欧米諸国はとてもホワイトなように見えるかもしれませんが、いい面ばかりでもありません。
アメリカでは管理職以外は時給制が多いため、急に会社が休みになって給料が減ってしまうということがざらにあります。
海外の働き方のいいところを、日本にも取り入れるのが理想
いかがでしたか?海外と日本では背景や労働事情も異なりますので、すべて真似をしても上手くはいかないかもしれません。しかし、フレックスタイム制や在宅勤務の浸透など、見習える部分はぜひ日本でも広まってほしいですね。