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家事ハラとはいったい何?間違った意味で使われていることも

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「家事ハラ」という言葉を知っていますか?
「家事」と「ハラスメント」を組み合わせた造語で、最近は夫がした家事に対し、妻がダメ出しばかりしてやる気を萎えさせることを指す場合もあるようですが、本来の意味は違います。
「家事ハラスメント」という言葉は本来、家事育児介護といった人間の生活に不可欠な労働が、不当に過小評価され、その責任や負担が「ないもの」のように扱われること。また、それが当たり前のように女性に押し付けられることが「ハラスメント」であると指摘した言葉なのです。

今回は「家事ハラスメント」について、なぜ二つの解釈があるのか、また家事ハラをなくしていくにはどうすればいいかなどについて考えてみたいと思います。


「家事ハラ」の語源は、竹信美恵子さんの著書

「家事ハラ」という言葉が生まれる由来となったのは、元朝日新聞編集委員で和光大学教授の竹信美恵子さんによる著書「家事労働ハラスメント―生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)。

この本で竹信さんは、料理や洗濯といった家事、育児や親の介護など、だれもが必要とする「暮らしの営み」のための労働が正当な評価を与えられず、それを担う人が生きづらさを抱えてしまうこと、またその労働が女性にばかり押し付けられる不平等さを問題視しています。

「家事ハラ」の誤解の原因は、旭化成ホームズの調査

しかし、今では「家事ハラ」という言葉を、夫の家事に対して妻がダメ出しすることだと解釈している人もいます。どうしてこんな誤解が生じるに至ったのでしょうか?
その原因は、旭化成ホームズが行った「妻の家事ハラ白書」と題した調査にあります。同社は6歳以下の子供を持つ共働き世帯を対象に、夫の家事参加実態や、妻から家事に対しダメ出しされた経験の有無を調査したのですが、そのダメ出しを「家事ハラ」という言葉で表現したのです。
この調査がテレビなどでも多く取り上げられたため、「家事ハラ」は「夫の家事に対する妻のダメ出し」という認識が広まるにいたったのです。

しかし、この「家事ハラ」という言葉の使い方は、「そもそも共働きなら夫も家事を分担するのは当然で、ダメ出ししたからといって〝ハラスメント〟と言うのはおかしい」と、一部の人々から批判を集める結果になってしまいました。

家族の形態は変わっているのに、理想の家族像は昔のまま

確かにバブル期ぐらいまでは、男性が外で働き、女性が家庭を守るというのが日本での一般的な家庭像でした。
しかし現代では共働き家庭が多くなり、妻が夫と同等の経済的貢献をしているにもかかわらず、家事は妻がやるものと考えている男性もたくさんいます。
共働きや核家族が増加し、家族の形態は昔とずいぶん変わっているのに、思い描く理想の家庭像がそれに追いついていないことが、「家事ハラ」を生み出す原因のひとつになっているのではないでしょうか?
また、今まで日本では家事や育児、介護といった家庭での労働に正当な評価がされてきませんでした。そのため外で収入を得ていないと、「夫に養ってもらっている」という引け目を感じる女性も多くいす。
しかし、家事労働は外注するとそれなりの費用が生じるもの。外で支払うべき費用を節約できているのですから、家事労働にも相応の対価があると本来は認められるべきなのです。

しかし、専業主婦やパートなどで少ない収入しか得ていない女性は「自分は稼いでいないから」と不当に肩身の狭い思いをしがちです。また家庭だけでなく社会においても、子育てや介護でブランクがあると正社員として雇用されにくかったり、シングルマザーが貧困に陥りやすいなど、家事労働の評価が低いために生じる不平等が多く起きています。

家事ハラがある限り、一億総活躍社会は難しい!?

政府は待機児童問題などに取り組み、少子化対策に歯止めをかけ、誰もが家庭や職場、地域で活躍できる「一億総活躍社会」を目指すとしています。
しかし、家庭での家事分担の不平等が是正されない限り、家事や育児、介護に加え、外の仕事で活躍することまで求められるのは、女性にとって負担でしかないという批判もあります。

外で働きたいと考える女性が、無理なく活躍できるためには、待機児童などの問題解決に取り組むのはもちろんですが、同時に「家事・育児は女性がやるもの」という世間の認識を変えていくことも大切です。

「家事ハラ」をなくすためには、どうすればいい?

では、家事ハラをなくすためにはどうすればいいのでしょうか?以下に考えられる対策をまとめました。

夫婦で相談して、家事や育児の役割分担を決める

女性はつい夫に「言わなくても悟って」と望みがちですが、男性ははっきり言わなければ気付かないこともあります。
普段から家のことを取り仕切っていると、次々にやるべきことが見付かり、いちいち夫に頼むのも面倒なので、全部自分でやってしまいがちなのは分かります。しかし、「なぜ私だけがやらなくちゃならないの?」とストレスが溜まる原因になるのも確か。

そうならないためには、事前に夫婦で相談して、家事や育児の役割分担を決めておくことが大切です。そして、夫の分担の仕事は、たとえやり方や速度に不満があっても、自分でやってしまわず、最後まで夫に任せるようにしましょう。そうすることで夫の側も「自分の仕事」という認識が芽生えます。

夫の家事の仕方が不満でも、ダメ出しをしすぎない

ずっと実家暮らしで母親に家事をしてもらっていた男性などは、もしかしたら最初は作業に慣れず、手間取って時間がかかったり、仕上がりが悪かったりするかもしれません。
しかし、だからといって細かくダメ出しをしすぎたり、全部自分でやり直したりすると、夫のやる気も萎えてしまいます。時には「ありがとう」など感謝の言葉をかけつつ、褒めながら改善してほしい点があれば指摘するようにするとよいでしょう。
「家事は夫婦共通の仕事なのだから、やって当たり前でしょ。どうして感謝しなきゃいけないの?」と思う人もいるかもしれません。しかし、逆の立場で考えてみるとどうでしょう。
例えば、車の運転などは夫が担っていることが多いですよね。でも夫が出先でお酒を飲んだり、疲れていたりして、あなたが代わりに運転をしたとします。その時、「お前の運転は危ない」などとダメ出しばかりされたらどう感じるでしょう?

わたしだって疲れているのに運転してあげているんだから、感謝の言葉はないの?と思いませんか。でも、車の運転は別に男性の仕事と決まっているわけではありません。少し感謝の言葉をかけるだけで、お互い気持ちよくなるのであれば、出し惜しみせずに使うのも得策だと思います。

家事ハラのない社会を目指すには、子供に見せることも大切

家事ハラをなくしていくには、世の中の人々の認識が変わることが欠かせませんが、昔から根付いた先入観というものは、なかなか払拭できるものではありません。
今、家事を手伝わない男性が多いのは、彼らの親の世代に専業主婦が一般的で、家のことは母親がやっていた家庭が多いからです。
そう考えると、もし今夫の家事に不満があるからといって、全部自分でやっているとどうなるでしょう?自分たちの子供にも「家事は女性がやるもの」と刷り込んでしまうことになりませんか?

家事ハラを社会からなくすためには、まず自分の子供たちに、家事や育児をする父親の姿を見せることが大切です。将来、男性が育児や家事に参加するのが特別なことと思われないよう、意識改革を進めたいものですね。

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