「しっかり寝ているのに疲れが取れない」「最近食欲がない」などといった症状があれば、慢性疲労、もしくは過労の危険性があります。女性の場合、更年期だから仕方ないと思ってしまう人もいるでしょう。しかし、原因は働き過ぎにあることも少なくありません。
女性が男性と同じように社会に出て仕事をするようになった、と言われていても、まだまだ男性社会である部分も。女性の上司を快く思わない男性社員もいます。
そういった中で女性が働くには、人一倍仕事をしなければならないことも。体調が悪いというだけで会社を休むわけにはいかないでしょう。
しかし、それが重なると病気になってしまうことがあります。その一つが過労です。いまや「過労死」は男性だけに起こるものではありません。女性も、しかも若い年齢も起こりうるもの。取り返しがつかなくなる前に、過労について知っておきましょう。
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疲れているだけと甘くみてはいけない!過労の症状と危険性
疲れなんて寝れば取れる、と思っていても、忙しいと睡眠時間をしっかり取れないこともあるでしょう。疲労は取らないと蓄積され、気が付いたときには過労となり、さまざまな体調不良が起こってしまいます。
それでも過労ならゆっくり休めば改善されるなどと甘く見ていると、危険な状態になる可能性もあるのです。過労の症状や前兆、危険性などについてまとめました。
過労によって引き起こされる症状
過労によって体や心に負担がかかると、体にはさまざまな症状が起こります。働きすぎれば、疲労が溜まりますが、体の疲労だけでなく、ストレスやプレッシャーなどによる心の疲労も蓄積されます。
通常、体や心の疲労は、睡眠や食事によって回復されるものですが、過重労働が続くとそれができなくなります。その状態が続くと、脳や心臓へのダメージとなり、さまざまな症状が現れるのです。過労による症状には次のようなものがあります。
- めまい
- 頭痛
- 肩こり
- 耳鳴り
- 不眠
- 吐き気
- 胃痛
- 難聴
- 鼻血
- じんましん
- 食欲減退
- 生理不順
さらに、体だけではなく、集中力の低下やる気の低下など、精神的な症状も出るようになります。
こんな症状には特に注意。過労の前兆
過労の状態が続き、さらに営業成績や納期などのプレッシャーや人間関係のストレスなどによって、自律神経のバランスを崩します。そうなると
- 血圧の上昇
- 血糖値の上昇
- 心拍数の増加
- 血行不良
- 免疫力の低下
などを引き起こし、急性心不全や脳梗塞などといった病気を発症します。このような重篤な病気が発症する前には、前兆があります。前兆には、
- 全身倦怠感
- ひどい疲労感
- 息切れ
- 頭痛
- 手足のしびれ
- 胸の痛み
- 冷や汗
などといった症状は体からのサインです。
性格も関係している!過労になりやすい状況
過労は働き過ぎによるものですが、働き過ぎというのは、
- 残業で家に帰るのが遅くなり睡眠時間が減る
- 休日出勤が多く体や心を休める時間が少ない
といった状況に加え、仕事における精神的なストレスが多い場合は注意しなければなりません。
- 一人でこなさなければならない仕事量が多く負担になっている
- 常に納期に追い立てられている
- 常に営業成績を気にしていなければならない
- 中間管理職として部下と上司の間で苦労が多い
- 社内の人間関係がうまくいっていない
などといったことが精神的な負担は心の疲労につながります。
また、疲労を溜め込みやすく過労を引き起こしやすい性格、というものがあります。
- 仕事熱心で完璧を目指す
- 競争意識が高い
- プライドが高く「できない」と言えない
- 何もかも自分でやらないと気が済まない
- 体力に過剰な自信がある
客観的に現在の状況を把握。過労の診断チェック
過重労働をしていると、ストレスを感じていなくても、体には負担がかっているものです。疲労が溜まっていても、仕事が忙しいため、体からのサインに気が付かないことも。疲労の蓄積度をチェックし、自分の現在の仕事の状況や体の状態を客観的に見てみましょう。
自分が感じている体や心の症状について
過労ということを意識していなくても、自分の体調の変化や、精神的な苦痛などを感じていることがあるのではないでしょうか?最近感じている症状について、当てはまるものをチェックしてみましょう。
- 疲れやすい
- 疲れが取れない
- 朝、起きたときに体が重くだるい
- よく眠れない、寝つきが悪い
- 仕事中、眠くなることがよくある
- 何となく体調が悪い
- 小さなことにイライラする
- ネガティブに考えてしまい不安になることが多い
- 気持ちがしずんでいる
- 集中力が散漫になっている
- やる気が出ない
以上のような症状がよくある場合は、疲労が大分溜まっている証拠。早めの対応が必要です。
仕事量は多すぎないか?勤務状況を客観的にチェック
勤務時間が長くなればなるほど、体への負担は大きくなります。「残業はいつものことだから」などと言っていると、自分では気づかないうちに心臓などに負担がかかっていることも。現在の勤務状況についてチェックしてみましょう。
- 深夜にまでおよぶ残業が多い
- 休日出勤が多く、休みは少ない
- 休日でも急きょ出勤になることがある
- 出張が多い
- 昼休みの休憩はほとんどなく、食事もままならない
以上のようなことが頻繁にあれば要注意です。
自分の体と心は自分で守る。過労にならないための対策
過労を甘く見てはいけません。過労が蓄積されれば、自分の心をコントロールすることもできなくなり、体は病気を発症します。その先に待っているのは「過労死」かもしれないのです。過労を溜めてしまう前に、意識して対策をすることが大切。どうすればよいのか、まとめました。
過労の原因を把握し解消する
過労の原因の多くは働きすぎです。前述した勤務状況をチェックし、自分がどれだけ働いているのかを自覚し、対処していくことが必要です。そのためには、会社の態勢を変えてもらうことも必要になるでしょう。早めに上司と相談することをおすすめします。
また、自分の性格によって仕事を増やしている場合もあるものです。一人でできる仕事は限界があるもの。部下や周囲のスタッフを信頼し、仕事を振り分けるようにしましょう。
さらに、体力の限界に追い打ちをかけるのがストレスです。仕事をしている以上、ストレスのない生活は不可能でしょう。大切なのはストレスを発散することです。
ストレスが溜まっていると心や体にさまざまな悪影響を与えますが、限界のサインの一つは不眠と言われています。
よく眠れれば、ストレスも軽減されると同時にストレスを増やすこともありません。しかし不眠が続けば、雪だるま式に疲労が重なり、重度の過労につながっていきます。
- 仕事のことが気になってなかなか寝付けない
- 夜中に目が覚めてしまう
- 熟睡感がない
- 昼間、急激にひどい眠気におそわれることがある
などといった症状があるなら、よく眠れていない証拠です。短時間でも熟睡できることが大切。そのためにも、まずは寝つきをよくすることです。
- 入浴は湯船につかり、疲労を取る
- 部屋にアロマを炊いてリラックスする環境を作る
- マッサージやスキンケアなどをしてリラックスする
- 寝る前は仕事のことを考えない
など、自分がリラックスできることを何でもいいので試してみましょう。
働き盛りの年代は要注意!過労のリスクを知る
過労を甘く見てはいけない理由は、過労死が他人事ではないからです。過労死とは、平成26年11月1日制定の「過労死等防止対策推進法」によると、
- 業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡
- 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
- これらの脳血管疾患もしくは心臓疾患もしくは精神障害
と定義されています。平成29年度厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」によると、過労による労災補償請求件数は、疾患・自殺を含め2500件以上。20~49歳といった年齢に多いことも分かっています。
これはすでに申請されている数なので、過労死にいたる寸前の人や、過労になりそうな人はもっと多くいることも予想されます。
健康を維持できる時間外労働時間を知る
一般的に過労死ラインと言われているのが、
- 直近の1ヵ月に100時間以上の超過勤務をしている
- 直近の2~6ヵ月間で80時間以上の超過勤務をしている
というラインです。1日4~5時間以上の残業続いている場合は健康に影響がある、ということ。
仕事から解放される時間を増やす
精神的な負担は体をむしばむものです。疲労を蓄積させないためにも、仕事のことを考えず、のんびりリラックスする時間が大切。会社に出勤しない日は、仕事のことを忘れてリフレッシュしましょう。
気分をリフレッシュできる時間を過ごすことで、体も元気になってくるはず。体が元気になれば、心も健康になるでしょう。
体は思っている以上に疲れているかも!過労のサインを見逃さない
どうしようもなく疲れていて、会社に行くのが心底イヤ、という状況であれば、すぐにでも退職届を出した方がいいかもしれません。転職は難しいのは言うまでもありませんが、そのままでは心も体も壊してしまいます。
過労を「ただの疲労」と思っていると、手遅れになってしまうことも。心も体も、自分が持っている以上に疲れていることもあるでしょう。過労のサインを見逃してはいけません。何等かのサインがあったなら、すぐにでも対策を取りましょう。
大きな改革はすぐにでは無理でも、まずは、気持ちをリフレッシュさせ、ストレスを軽くしてあげることから始めましょう。