ライフスタイルの多様化に伴い、働き方にも大きな変化が生まれています。今までは会社で仕事とお給料をもらうのが一般的な働き方でしたが、現在では起業して自分のお店や仕事を手に入れている人達もいます。
現在、企業に勤めている人や家庭で過ごしている人の中には、起業して自分のお店や仕事を持ちたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、起業に関する知識がないと、「起業するには何が必要か」というような根本的な事も分かりません。
そこで、今回は起業に必要な準備を解説していきます。起業して行う仕事内容によって内容は細かく違っていきますが、基本的な流れはこちらで紹介する流れに沿って行います。これから起業を考えている方は、参考にして下さい。
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起業の仕方は2つ。それぞれの特徴を知ろう
まずは起業には2つのやり方がある事を解説していきます。やり方によって必要な手続き等が違っていきます。まず、自分はどちらのやり方でやってみたいかを考える所から始めてみて下さい。
個人事業主
個人事業主とは、名前の通り「個人で事業を行っている人」の事です。法人、つまり会社として仕事をしているのではなく、どこにも所属していない個人が、継続して仕事となる業務を行っている場合、この個人事業主とみなされます。
個人事業主は
- 事業として始める手間が少なく、簡単に始められる
- 事業が軌道に乗るまでは税の負担も軽い
というメリットがあります。
ただ、
- プライベートと仕事の区別がつきにくい
- 信用も法人に比べれば低い
といったデメリットも存在しています。仕事の内容によっては、これが大きなデメリットとなる場合もあるでしょう。
手続きとしては、自分の住んでいる地域を管轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を、事業開始1か月以内に提出しなくてはなりません。
また、確定申告の手続きも行わなくてはなりません。確定申告は一定の条件を満たすと、控除等を受けられる青色申告を受ける事ができます。青色申告を受ける場合は、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなくてはなりません。
この申請書は新たに事業を開始してから、2か月以内に提出しなくてはならない書類です。個人事業の開業書と期限が違う為、間違えないようにして下さい。
これに加えて、自分以外にも従業員を雇い入れる場合は、税務署だけでなく、年金事務所ハローワークで従業員を雇う為の手続きを行う必要がありますので、注意して下さい。
会社を興す(法人を設立する)
会社、つまり法人を設立するというのは、
- 株主等の出資者からお金をもらって会社を興す
- 複数の人とお金を出し合って会社を興す
といった形で、会社を設立し、起業する方法です。
メリットとしては、
- 個人と会社のお金を区別しやすい
- 信用が高く、取引相手の選択肢が幅広い
といった点があげあられます。
しかし、
- 設立にかかる費用が大きい
- 税理士の手を借りないといけない
- 赤字でも税金を支払わなくてはらならない
といったデメリットもあります。
法人の場合、手続きも複雑です。
- 会社の決まりを定めた定款を、会社の所在地にある公証役場に認証してもらう手続き
- 法務局で会社の設立登記をしてもらう手続き
をした上で、税務署に
- 法人設立届出書
- 青色申告が必要な場合は、青色申告の承認申込書
を提出しなくてはなりません。
これに加え、従業員を雇い入れる場合は、その為の手続きを
- 税務署
- 年金事務所
- ハローワーク
で行う必要があります。
法人には複数種類があり、法人の種類によって必要な手続きは違います。多くの手続きが会社設立の日から3か月以内と決まっているので、全ての手続きをそれまでに終わらせなくてはいけないのです。
法人の場合、個人事業主として立ち上げるより手続きが複雑で大変です。しかし、その分社会的な信用度は高く、仕事の選択肢もあります。仕事の内容や起業する状況によっては、法人として会社を立ち上げた方が有利な場合もあるのです。
起業には準備が必要。主な流れを知っておこう
個人事業主として始める場合も、法人として始める場合も、基本的な起業の準備は変わりません。主な流れを知り、それに沿って入念に準備をしましょう。
起業は最初の準備が出来ているかどうかで成功が決まりますから、細部までしっかりと内容を詰め込むようにして下さい。
起業する理由や仕事内容を考える
一番初めにやらなくてはいけないのが、
- 起業する理由や目的
- 自分の価値観や考え方
- 自分が得意な事
といった、起業の軸となる内容を考える事です。
起業したい理由や目的は、これから起業して行う仕事の内容や方向性を決めていくのに重要な要素となります。
また、仕事をする場合、どの様な形でも自分自身の力で仕事を見つけ、こなしていかなくてはなりません。起業を成功させるには、自分のできる事・得意な事を明確にしなくてはならないのです。
これらを踏まえて、
- 起業の理由や目的が世間のニーズに合っているか
- 自分の価値観や考え方、得意な事をどうやって仕事として成立させるか
を考えていきます。
いきなり考える事がたくさんでてきましたが、これは自分一人で行っても上手く行く事でもありません。
- 家族や友人等の親しい人達に相談する
- 起業に詳しい専門家に相談する
等を行い、客観的な視点を取り入れながら考えてみましょう。
事業計画書を作成し、内容を具体的にする
具体的に起業への考え方がまとまったら、事業計画書を作成し、その内容をより具体的な内容にしていきます。
事業計画書とは銀行や投資家から資金を調達する際、出資してもらえるかどうかの判断材料として活用されます。
内容は
- 事業や会社の概要
- 提供する製品やサービスの内容・提供方法
- 仕入等の経路や製品の生産方法
- 経営方針
- 競合他社の対策
- 事業を行う上での問題点やリスク
- 人を雇う場合は組織や人員の計画(雇用形態や待遇、募集方法等)
- 事業スケジュール
等、起業した事業を運営する為の具体的な内容を取りまとめたものになります。
これらの内容は一般的な内容にすぎません。立ち上げる事業によって、増えたり減ったりします。起業して事業を運営する際、必要な内容を出来るだけ細かく、具体的に書き出す事が大切です。
事業計画書をどれだけ具体的に、実現可能な計画として作成できるかが、起業を成功させるかどうかの分かれ目となります。
最初は上手くかけなくても構いません。
- 思いつける限りの内容を計画書内に盛り込み、作成する
- 完成させた計画書を見直し、足りない部分や分かりにくい部分が無いか確認する
- 足りない部分や分かりにくい部分を書き足したり、内容を具体的にしたりする
といった事を繰り返し行っていって下さい。
最初は上手くかけなくてもこの作業を繰り返し行っていけば、自然と具体的な内容の事業計画書が書けるようになります。
ある程度形になったら、自分だけでなく起業の専門家にも目を通してもらいましょう。プロの目を通す事で、自分でも気が付けなかった計画の穴を埋める事ができます。
起業に資金が必要か、必要な場合は必要資金について計画する
具体的な事業計画書が完成したら、それを元に
- 起業に資金が必要かどうか
- 必要な場合、具体的に必要な金額はどれ位か
を考えていきましょう。
例えば、同じものを販売するお店でも、
- 店舗と在庫置き場が必要なタイプ
- ネット販売のみのお店等、在庫置き場のみで済むタイプ
では、必要経費も大きく違います。
事業計画書を見ながら、起業にかかる初期費用はどれ位かを考えましょう。
具体的な例で言うと、
- 事務所や店舗を借りる為のお金
- 内装や備品を用意する為のお金
- 宣伝や広告を出す為のお金
等があげられます。
また、初期費用だけでなく、
- 店舗や事務所の家賃
- 水道光熱費や通信費
- 備品のリース代や借り入れたお金があるならその返済金
- 自分の生活費や従業員に支払う給与
等、事業をする上で必ず毎月かかってくるお金についても考える必要があります。
また、起業し始めた時は安定した利益を得るのが難しい場合もあります。これに備えて事業を運営する運営資金も準備しましょう。
これらのお金を準備する方法として、
- 自己資金を利用する
- 融資や出資を受ける
- 国や地方自治体の助成金や補助金を受ける
等の方法があります。
どれを、どれ位利用するのかまでしっかり決めておきましょう。
資金関係の決め方は、見積もりを厳しめに出すのがポイントです。資金管理が甘いとその分資金のロスも起こりやすくなります。資金の見積もりは厳しめに、運用資金等の金額は余裕を持って計算するようにしましょう。
起業は具体的な計画が成功のカギ。細かい所までしっかり計画しよう
起業の成功は入念な準備と具体的な計画によって決まります。細かい部分までしっかりと計画し、それに沿って準備を進めましょう。
また、自分の味方で見ただけでは、どうしても計画や準備に穴が生まれてしまいます。周りの人達や専門家の意見を聞き、客観的な視点から見た内容も取り込んでおきましょう。