くるみんとは、国(厚生労働省)が認定した、「子供を育てながら働きやすい企業」のことです。
しかし一方で、くるみんマークは信用できないという声も。一体どうやって厚生労働省は「くるみん企業」を認定しているのでしょうか。その認定基準を詳しく知りたいところです。
認定基準やどのような企業が認定されているのかを知れば、これから子育てしながら働きたいと思っているママにも参考になると思います。
出来るだけ働きやすい会社を選ぶためにも、くるみんマークを取得している会社にはどんな会社があるのかについても調べてみました。
Contents
くるみんとは。どうすればマークを取得できる?
くるみんとは、厚生労働省が認定している、子育て応援企業のことです。ママでも働きやすい環境を整えた会社である、という証明なのですが、どのような企業が認定されているのでしょうか。
次世代育成支援対策推進法
くるみんの元になっているのは、次世代育成支援対策推進法という法律です(以下、「次世代法」とする)。
この法律に基づき、一般事業主行動計画というものを策定し、それを厚生労働省に届け出ます。
同時に、その計画を公表し、社員にも周知します。
日本では大企業といわれる会社よりも中小企業の方が多いのですから、従業員数で分けられるのもどうかと思いますが、大きな会社であれば子育て支援の体制が整いつつあると考えられますね。
くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧
有名な企業ですと、
- GMO
- JAL
- JR東日本
- KDDI
- 旭化成
- アサヒビール
- エイベックス
- 花王
- KAGOME
- セゾン
- SECOM
- ソフトバンク
- 東急ハンズ
などが名を連ねています。
くるみんの認定基準
くるみんのマークを取得するためには、様々な基準があり、それをクリアしなければなりません。
- 男性の育児休業取得率を7%以上にする
- 女性の育児休業取得率は75%以上にする
- 時間外労働や休日労働を各月45時間未満にする
- 月の時間外労働が60時間以上の労働者をゼロにする
- 小学校入学前の子供がいる場合、時短勤務の措置などを講じている
- 関係法令に違反する重大な事実がないこと
など、条件が細かく決められています。
これらの目標を達成するために、行動計画を立てて実行していきます。
行動計画とは
では、具体的にどのような計画を立てるのでしょうか。
例えば、
- 20XX年までに、育児休業を導入する
- 男性の育児休業取得率を○%にする
など、期間や数値を入れて目標を決めます。行動計画の期間は2年以上5年以下とされています。
その目標を達成するために、具体的にどのような対策をとるのか計画を策定します。
働く人の年齢層や環境は会社によって違います。ですから、まずは社員がどのようなニーズを持っているのかを聞き取り、
- 有給取得日数を増やすよう、計画的に取得できる体制を整える
- 産休や育休の取り方を周知する
- 時短勤務制度を導入する
- ノー残業デーを作る
など、子育て世代が働きやすい環境づくりの計画を立てます。
一方で、子育て世代が少ない会社でもくるみんマークの取得は可能なので、
- 残業を減らす
- 有給取得率を上げる
- 子供が工場見学できるようにする
- 学生のインターンシップを受け入れる
など、ワークライフバランスを考慮した職場環境を作る、ということでもOKです。
労働者への周知
行動計画を作ったら、おおむね3ヶ月以内に自社の従業員に周知をします。
周知方法は内容がしっかり伝われば何でも良くて、
- 見やすい場所に掲示する
- 誰でも手に取ってみられるように備え付ける
- 従業員に書面を配布する
- 電子メールで送付する
などの方法があります。
都道府県労働局雇用環境均等部へ届け出る
行動計画を策定し、それを従業員へ周知するのと同時に、都道府県の労働局へ届け出ます。
届出方法は、
- 郵送
- 持参
- 電子申請
いずれでもかまいません。
労働者、企業、双方にメリットのある制度
くるみんマークを取得するということはどのようなメリットがあるのでしょうか。
労働者にとっては、まさに働き方改革につながること。
企業にとっては
- 女性が働きやすい会社
- 子育て世代に優しい会社
など企業イメージアップにもつながります。
企業としては認定を受けると税制面でも優遇を受けられるので、取り組む価値はあるということですね。
本当にこの制度の趣旨通りに運用されていくならば、非常に有り難い制度だと思います。
くるみんマークは信用できない?実態はどうなってるのか
このように、具体的な行動計画を作っているのなら、くるみんマークを取得している企業の方が働きやすいと思いますよね。
しかし、くるみんマークは信用できないという声が一部にあります。それは何故なのでしょうか。
電通が取得していたこと
社員が自殺したことで働き方が問題になった電通が、過去に3回もくるみんマークを取得していました。
じゃあ、行動計画って何なの?という疑問も出てきますよね。
ほとんどの企業は真摯に取り組んでいると思いたいですが、一部でもこのような企業がマークを取得していたとなると、100%信用しきれないと思う人がいても仕方ないでしょう。
形だけの目標達成になっている
例えば男性の育児休業取得ですが、もともと休む予定だったところを、子供が小さいことを理由に「育児休業」とされてしまった場合、取得率は上がります。
育児休業をとって欲しいのは、生まれてすぐの一番大変な時期ですよね。もしくは、里帰り出産をした人は、実家から帰ってきて慣れない育児を始める時期だと思います。
実態が制度の趣旨とあっていないのであれば、全く労働者のためになっていないということになりますね。
小さい会社には義務になっていないこと
大きい会社であれば、元々それなりに福利厚生や働く制度が整っていることも少なくありません。
しかし、問題は従業員の少ない会社ではないでしょうか。
- 人がいない
- 新しい人も雇えない
- しかし仕事は減らない
- 育休なんてとった前例がない
- 寿退社が当たり前
なんて会社はいくらでもあるはずです。
中小企業が多い日本で、この制度が適用されない会社の方が多いなら、それは本当に労働者のためになるのかとても疑問です。
小さくても大事な第一歩。働きやすい社会を作るために
くるみんマークはまだまだ認知度が低いと思いますし、企業側がイメージアップや税制の優遇だけを期待して、形だけの導入をしている可能性もなくはないです。
ただ、形だけでもとりあえず前に進むことができれば、少しでも女性が働きやすく、パパももっと早く帰れる社会が作れる小さな一歩になるのではないでしょうか。