最近よく聞くようになった「認定こども園」。保育園や幼稚園のように子供を預ける施設だということはわかっていても、その実態についてよくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
そもそも認定こども園とは、急速に進む少子化や保育ニーズの変化に対応するために新しく設けられた制度です。
近頃は、今まで幼稚園や保育園として子供を預かっていた園が認定こども園に代わるケースもみられるようになってきました。
今後、認定こども園はお子さんを預ける選択肢のひとつになってくる可能性が高いでしょう。
ここでは、認定こども園の特徴や幼稚園、保育園との違いについて解説していきたいと思います。
Contents
認定こども園の特徴とその4つの種類について
かつて子供を預ける施設といえば幼稚園と保育園が一般的でした。認定こども園とは、保育園と幼稚園の両方の要素を併せ持つ施設のことで、地域において子育て支援活動を行う役割も持ち合わせています。
認定こども園の特徴とは?
一定の基準を満たすことで、都道府県知事から認定こども園として認可を受けることができます。
- 未就学児に幼児教育と保育を提供する機能
- 保護者の就労有無に関係なく子供を受け入れ、教育と保育を実施すること
- 地域における子育て支援事業
- 全ての子育て家庭を対象とし、子育てに関する悩みや不安相談に乗る、親子の集いの場を提供するなど子育て支援事業を提供すること
認定は各都道府県によって行われますが、条例により認定内容が定められており、独自の基準が設けられている自治体もあります。
幼稚園、保育園とはどう違う?
幼稚園、保育園の両方の機能を持ち合わせている認定こども園ですが、幼稚園や保育園との違いは何なのでしょうか?
- 幼稚園とは
- 幼稚園を管轄しているのは文部科学省であり、教育施設として位置づけられています。そのため、教育の場としての役割的要素が強いです。
- 保育園とは
- 厚生労働省によって管轄されており、主に子供を保育する福祉施設として位置づけられています。
親が就業、病気、介護などの理由で家庭にて保育できない子供を、保護者に代わって保育する施設になります。
認定こども園は幼稚園と保育園の要素を併せ持ちますので、文部科学省と厚生労働省によって管轄されています。
ここで、認定こども園と幼稚園や保育園との違いをいくつかの項目からピックアップしてみました。
- 標準保育時間
- 保育園や認定こども園が7時30分から17時(原則8時間)であるのに対し、幼稚園は9時から14時と5時間が標準です。
- 入園可能年齢
- 保育園と認定こども園が0歳から小学校就学前であるのに対し、幼稚園は3歳から小学校就学前です。
- 延長保育
- 保育園と認定こども園は園によって延長保育の時間が異なります。幼稚園は預かり保育の対応しているところと、対応していないところがあります。
- 給食
- 保育園と認定こども園が義務であるのに対し、幼稚園は任意です。
- 入園に関する申し込み手続き
- 保育園が市町村の担当窓口や保育園、認定こども園は種類によって窓口が異なります。幼稚園は入園希望の幼稚園に直接申し込み手続きを行います。
- 働く先生の資格
- 保育園には保育士、幼稚園は幼稚園教諭、認定こども園には両方の有資格者がいます。
- 保育料
- 保育園と認定こども園は自治体の基準に応じた保育料で、幼稚園は私立が園独自の基準、公立幼稚園は自治体基準になります。
- 入園条件
- 保育園は保育に欠ける子供、幼稚園は条件なし、認定こども園は種類によって条件が異なります。
同じ認定こども園でも、その種類によって違いがありますのでその点注意が必要です。
認定こども園の種類
認定こども園は地域事情などに応じて、いくつかのタイプに分けることができます。
- 幼保連携型
- 幼稚園教育要領に基づく幼稚園の機能と、保育所保育方針に基づく保育所機能を併せ持つのが特徴です。
もともと幼稚園だったところや、認可幼稚園と認可保育園が連携したケースが多くみられます。
- 幼稚園型
- 延長保育や長期休暇中の預かりを実施し、保育所的な機能を持ち合わせています。
公立や私立の幼稚園が元となっている施設が多くみられます。園によって預かり対象年齢が異なりますが、0歳から預かってくれる施設もあります。
- 保育所型
- もともと認可保育所として運営していたところが、保育に欠ける条件を満たさない子供も預かることで幼稚園機能を備えたタイプです。
- 地方裁量型
- いままで認可を受けていない施設がもとになっているタイプであり、新たに認定こども園として必要な機能を果たすタイプになります。
主に待機児童解消のためなど、地域の事情や規定に応じて設けられているため、各地域によって施設の特徴や概念が異なります。
いくつかのタイプがありますが、現在認定こども園として認可されている施設の多くが、幼保連携型か幼稚園型です。
理解しておきたい、認定こども園に通うメリット、デメリット
最近増えてきた認定こども園に、お子さんを通わせることが出てくるかもしれません。
保育園や幼稚園との違いだけでなく、お子さんを通わせるメリット、デメリットについても理解しておきましょう。
認定こども園のメリット
子供を認定こども園に通わせるメリットは、以下の通りです。
- 小さい子供との交流
- 幼稚園では3歳(年少児)から通えますが、認定こども園によっては0歳からの子供を預かっています。
中には縦割り保育を行っていることもあり、小さい子供と触れ合う機会が持てます。
- 幼児教育を受けられる
- 保育園ではなく幼稚園を選ぶママの中には、子供に規律や読み書きなどを教えてほしいからと考えるからではないでしょうか。
認定こども園では幼児教育にも力を入れていますので、英語やスイミングなど園ごとにさまざまな教育を行っています。
- 保育園から幼稚園に移動する必要なし
- ママが働いているという事情で、0歳から3歳までは保育園に通わせて、3歳からは教育目的などを理由に幼稚園に転園させようと考えるケースも少なくありません。
認定こども園は幼稚園の要素も持ち合わせていますので、あえて幼稚園から保育園に移す必要もなくなります。
- 給食が利用できる
- 幼稚園の場合、完全給食でなく保護者がお弁当を作って持たせるところがあります。
毎日のお弁当は保護者にとっても負担となります。認定こども園では給食を提供している園がほとんどですので、お弁当作りの負担が軽減できます。
- 費用負担が減ることも
- 今まで私立幼稚園として運営していた園は、その園独自で保育料を設定していました。
私立幼稚園が認定こども園に移行したことで、保育料が自治体で定められた保育料となり、費用負担が減る場合があります。
また、認定こども園には働くママや、専業主婦などさまざまなタイプの人が子供を通わせています。
いろいろな人から子育てや仕事に関する情報を収集できるのも、認定こども園の魅力だと言えるでしょう。
認定こども園のデメリット
幼稚園と保育園の両方の機能を併せ持ち魅力も多い認定こども園ですが、デメリットもあります。
- 入園できないことも
- 基本的には誰でも利用できる認定こども園ですが、共働き家庭やひとり親家庭が優先されることが多く、希望しても入れないことがあります。
- その他費用に注意
- 認定こども園によっては制服や体操服といった備品の購入を求められる、絵本や教材費といった保育料以外の費用負担がかかることがあります。
その他費用については園によって異なりますので、事前によく調べておくことをおすすめします。
- 役員の負担
- 共働き家庭も専業主婦家庭も子供を預けることができるからこそ、発生するのがこども園の役員問題です。
仕事をしていない専業主婦のママが役員を担う可能性が高く、仕事を理由に役員を断ると他のママから反感を買うこともあります。
- 費用負担が増えることも
- 幼稚園の多くが園指定の制服や体操着、備品や入学金の納付を求められます。認定こども園になってからも備品は変わらず同じものを使用する園も少なくありません。
保育園と比べて事前に用意するものが増えるため、負担増になってしまう家庭もあるようです。
認定こども園によってさまざまな事情がありますので、情報収集はしっかりとしておきましょう!
気になるこども園の保育料は?
子供を預けるときには、預け先の保育料も気になってくるでしょう。保育園の場合は、保護者の収入に応じて保育料が決まりますが、こども園の場合は保育料設定が少し異なります。
こども園の保育料
こども園の保育料は子供の年齢や保育の必要性によって決まります。
- 1号認定
- 3歳以上の保育を必要としない子供(専業主婦家庭)
- 2号認定
- 3歳以上の保育を必要とする子供(共働き家庭)
- 3号認定
- 3歳未満の保育を必要とする子供(共働き家庭)
保育料は各自治体で決めることになります。また、幼稚園がこども園に移行することになった場合、保護者の負担増とならないように配慮するよう指導されています。
補助金はもらえるの?
幼稚園では所得に応じた就園奨励費と呼ばれる補助金を受けることができました。こども園に移行した場合、補助金は廃止されて所得に応じた保育料を支払うことになりました。
こども園に移行していない幼稚園については、自治体によって補助金が出ることがありますので調べてみましょう。
こども園の特徴やメリット、デメリットを理解することが大切
認定こども園は今後も増えていく可能性が考えられます。働きながらお子さんを預けるときに、認定こども園も選択肢のひとつになってくるでしょう。
だからこそ、その特徴やメリットデメリットをよく理解したうえで、子供の預け先を探すことが大切です。かわいい我が子のためにも、しっかり情報を収集しましょう。