「おひとりさま」というと、昔は少数派のイメージがありましたが、最近はあえて結婚しない男女も増え、おひとりさまが着実に市民権を得てきています。
しかし、一生結婚せず、子供もいないとなると、心配なのは老後のこと。また結婚していても、パートナーに先立たれたり、子供が遠方に住んでいて音信不通になるなどで、おひとりさま状態になる可能性は誰にでもあります。
今回はおひとりさまの老後を楽しく暮らすために、役立つ情報を集めました。
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今の日本では、女性の7人に1人が「生涯未婚」
つまり今の日本では、男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯未婚であるということ。子育てしにくい世の中であったり、育児と仕事の両立が難しい、結婚するとお金を自由に使えないなど、結婚や出産、育児に対する否定的な情報が増えていることもあり、最初から結婚しないと決めている人も多いようです。
おひとりさまの老後のメリットは、悠々自適なこと
おひとりさまの老後というと、寂しいイメージがありますが、メリットもたくさんあります。
やはり一番は、金銭的な余裕ではないでしょうか。子供がいれば老後までに教育費でかなりの出費がありますし、孫ができればお小遣いなどでまたお金が出ていきます。
しかし、おひとりさまの場合は、自分のためだけにお金が使えるため、現役時代にたくさん貯蓄があれば、趣味にお金をかけたり、旅行に出かけたりと悠々自適な老後を過ごすことができます。
おひとりさまの老後のデメリットは、孤独の不安
一方、おひとりさまの老後のデメリットは、やはり孤独や身寄りがないことではないでしょうか。
おひとりさまで老後を過ごす場合は、健康でなくなっても生活ができるよう、ある程度の備えは必要になるでしょう。
おひとりさまの老後に必要な貯蓄は、いくらぐらい?
おひとりさまの老後で、一番心配なのはやはりお金のことだと思います。一人で老後を安心して過ごすには、いくらぐらいのお金が必要なのでしょうか。
2016年の総務省による家計調査年報をもとに、60歳以上の単身世帯の1ケ月の支出を導き出すと、その額の平均は約15万円。
2016年の女性の平均寿命は87.14歳でしたので、仮に87歳まで生きるとして、必要な額を割り出してみましょう。試算では60歳で仕事を辞め、年金生活に入るとして計算してみます。
会社員なら4×12×27で1296万円。自営業なら8.5×12×27で2754万円になります。ただし、先に述べた老後の1ケ月の支出額は、持ち家の人も含めた平均で出しているため、住居費が低めに算定されています。もしずっと賃貸なら、もう少し多く費用がかかります。
また、病気やケガの入院、住居の補修など、大きな出費があったり、年金が将来今の基準より目減りすることも考えると、上記の額よりは多めに老後に必要な貯蓄額を見積もっていた方がいいでしょう。
おひとりさまで孤独にならないために、備えておきたいこと
おひとりさまの老後で一番不安なのは、やはり孤独ではないでしょうか。一人暮らしの高齢者の孤独死のニュースを見て、他人事ではないと思う方もいるかもしれません。
おひとりさまが老後の孤独を防ぐためには、どんな備えをしておけばよいのでしょうか。以下にまとめました。
趣味や地域活動など、仕事以外の行動範囲を広げる
定年を迎えないうちから、趣味など仕事以外に打ち込めるものを見付けておくことは大切です。また趣味を通じたサークル活動や、地域活動に参加するなど、職場以外の居場所を作っておくと、仕事を辞めた後も充実した生活を送ることができるでしょう。
友人や恋人など、人との交流を大切にする
定年後は、仕事を通じた人付き合いは自然と疎遠になっていきます。配偶者や子供がいない場合、最も密な付き合いになるのは、友人関係かもしれません。
定期的に会ったり、電話をしたりする友人がいるのなら、その関係は大切にしましょう。婚姻するしないは関係なく、恋人を作るのもいいでしょう。
同じおひとりさまの兄弟姉妹がいて、日頃から仲良くしているのならそれでも構いません。誰か自分のことを気にかけてくれる人を作っておくことが重要です。
仕事ができるなら、仕事を続けるのも◎
定年退職後の選択肢は、何も引退するだけではありません。これからは公的年金も当てにならない時代。働けるうちは働くという人も多いでしょう。
正社員ではなくても、パートやアルバイトで可能な範囲で働く方法もありますし、シルバー人材センターなどに登録して能力を活かすこともできます。
終活は早めに進めておこう
今は家族がいても、生前から終活を行う時代。おひとりさまなら特に、死後の身辺整理をしておく人がいないので、終活は大切です。
健康でなくなった場合のことも考えておく
健康な場合は高齢でも問題なく過ごすことができますが、怪我をしたり病気をしたりして、自分で自分のことをできなくなる可能性は誰にでもあります。
介護が必要になった場合のことを、健康なうちから考えておくことは大切です。
おひとりさまの老後で、知っておくと便利な制度
身の回りのことが自分でできない、身寄りがない人のために、支援を受けられる公的な制度もあります。いざという時のために、以下の2つは覚えておくとよいでしょう。
- 日常生活自立支援事業
- 都道府県社会福祉協議会やその委託を受けた市町村社会福祉協議会等が、判断能力が低下した高齢者などが、住み慣れた地域で安心して生活できるよう、福祉サービスの利用援助を行う事業です。具体的には手続き等をサポートする福祉サービスの利用援助や、日常的な金銭管理サービス、書類などの預かりサービス等を行います。
- 成年後見人制度
- 認知症などで判断能力が衰えた人に代わり、成年後見人が預貯金や不動産の管理、施設への入退所等を行うことができる制度です。「法定後見人制度」と「任意後見人制度」の2つがありますが、おひとりさまが覚えておくべきなのは判断能力が衰える前から使える「任意後見人制度」の方。この制度を利用すれば、あらかじめ自分が選んだ人に財産管理などの代理権を与えることができます。
もしもの時のための準備を整えながら、悠々自適な老後を
いかがでしたか?一人の老後は何かと不安もあるとは思いますが、今は家族がいても老後は一人暮らしの人も多く、その分サービスや制度も整ってきています。