「リーダーシップ」という言葉には、どんなイメージがあるでしょう。「リーダーシップを発揮してメンバーを支えました」といった、「人をまとめる力があります」というニュアンスで使っていませんか。
この記事ではリーダーシップの意味とリーダーに求められる役割4つと能力10個をご紹介していきます。柔軟なコミュニケーション能力があれば、リーダーになれそうな気がしますが、それだけにとどまらないのです。
「リーダーには何が求められるのか」と疑問に思っている方だけでなく、チームのリーダーとして実際に立つ方にも参考になります。また、「リーダーになったけど、メンバーが思うように動いてくれない」といった悩みにも答えられる内容です。
リーダーの役割とは。指示することだけに留まらない
リーダーシップ(leadership)とは、指導者としての能力や力量、統率力などを意味し、組織を目標へ向けて前進させる役割があります。
似たような役割に「マネージャー」がありますが、こちらは組織を管理していく役割があり、リーダーのサポートという印象です。リーダーに必要とされる役割は大きく分けて4つあるので、リーダーの役割を改めて見ていきましょう。
目標を設定してメンバーに提示する
チームを動かすとき、大きな目標がなければメンバーは困惑します。チームを手こぎ船に例えれば、船長であるリーダーが何も言わずにメンバーを船に乗せ、海にこぎ出せと命令しているようものです。
これでは「どこへ向かえばいいのか、そもそも何のために集められたのか」がメンバーには理解できません。目標を設置することは組織を会社の中に属させることと同じなので、早い時期から目標をメンバーに知らせましょう。
働きやすいように組織の環境を整える
たとえば「○○の連絡先知ってる?」「△△さんが知ってるんじゃないですか?」といった、面倒なやりとりを起こさせないために、リーダーは働く環境をいち早く整える必要があります。
特にチームで共有すべき情報は、組織間で見やすく環境を整えることで、無駄なやり取りも減り、作業の効率も上がっていくことでしょう。
主体的に動けるようにメンバーへ働きかける
いくらリーダーが頑張っても、メンバーのやる気がなければ組織は動きません。船の例を出すと、リーダーが「風の流れが変わったあっちに漕いで!」「岩がある!右によけて!」と熱心に指示を出してもメンバーはだらだらと漕いでいるような状態です。
なので、メンバーが自分から動いてくれるように指示を出し、個人の支援をしていくのもリーダーの役割となります。
メンバーの手本となる
「部下に指示だけを出していればいい」という認識では、嫌なリーダーという印象になり、反感を買ってしまうかもしれません。リーダーとして選ばれたのなら、メンバーの手本となる仕事をしていきましょう。
リーダーに必要な能力は10個!できることから始めよう
リーダーシップは能力であって、才能や地位は関係ありません。リーダーの素質は誰にでもあるのです。
リーダーに必要な能力は10個。全てをこなせられれば、良きリーダーとして迎えられますが、一度に全て得るのは難しいです。自分ができるところ、伸ばせる場所から始めてみましょう。
視野を広く持つ:チームだけでなく会社全体も見られるように
リーダーの視野が狭いと自分自身を見失うだけでなく、メンバーも見失ってしまいます。どんなに焦っている状況でも、組織全体を冷静に見下ろせられる視野の広さが必要です。
リーダーに必要な能力の中でも、優先的に会得していきましょう。視野の広さはさまざまな場所で活かされ、
- 組織の目標と達成までの時間の把握
- メンバーひとりひとりの理解や信頼関係
などにも関わってきます。組織を見通せるようになったら、視野を組織から会社全体まで広げられるようにしていきます。
コミュニケーション能力:相手のことを考える会話力
リーダーには何よりもコミュニケーション能力だと思われますが、分かりやすく伝えること以外にも、チームを活性化させる想像力も必要です。
たとえば入ったばかりの新しいメンバーにいきなり責任を問われるような仕事を任せるのは、無謀なだけでなく、新メンバーに大きな負担がかかります。他のメンバーからも「あのリーダーはヒドイ」と思われることでしょう。
目標設定:計画を立てる力をつける
リーダーの役割にも説明がされていた部分です。目標を立てて、計画を綿密に実行させようとメンバーを動かしていく能力を欠いてはいけません。目標を立てる場合は
- Specific(具体的にどんなものか)
- Measurable(数字などで測定可能か)
- Achievable(現実的に達成可能か)
- Related(経営に関連しているか)
- Time bound(いつまでに達成するか時間の制限)
というSMARTゴールを意識して目標を明確にしていきます。
決断力:優柔不断はチームも不安にさせる
「とにかくこっちだ!」と力強く指示を出すリーダーと、「たぶんこっち。いや違うな、こっちかな?」と指示がいつもあいまいなリーダー。どちらについていきたいですか?
後者のような優柔不断なリーダーではだれも付いていかないでしょう。前者のほうは頼りになる雰囲気があります。
お手本力:できるリーダーは与えられた仕事をこなす
リーダーの役割にも書かれた部分です。メンバーの手本となるように、業務の実行力を向上させてみましょう。
いくら目標が的確でも、メンバーのことを良く見ていても、仕事ができないリーダーでは頼りないという印象を持ってしまいます。与えられた仕事が難儀なものであっても、適当にこなさず実直に行うだけでも印象が変わっていくはずです。
学習能力:同じ過ちを繰り返さないようにつとめる
リーダー個人の仕事に対する知識量だけでなく、学習能力の高さもあった方がいいでしょう。小さなミスでも同じことを犯さないように、メンバーと情報を共有したり、過去の業務から改善すべき点を見つけたりなどが必要となります。
育成能力:モチベーション管理もリーダーの力
指示を出しているだけでは、メンバーのモチベーションは下がり続け、信頼関係も薄れていってしまいます。そうなる前に、
- メンバーのモチベーションをあげるような声かけ
- 個人的な話題を振る
- ひとりひとりの個性を見極めメンバーの結果を評価
などをして、個人が出せる能力を改善させて仕事を振り、能力を育てていきましょう。チームの業務を円滑にさせていく大切な鍵となります。
体系化させる:規律あるチームは自然と結束が生まれる
誰がどんな役割をするのか、この問題が起きたら誰が解決できるのか、など組織を体系化(メンバーに役割を振り分けていくこと)もリーダーの役目です。リーダーが率先してチームの環境を整えると、統率も一緒に生まれていきます。
もしもシステムを考え出さなかった場合は、ふとしたきっかけでチームは大混乱を起こし、目標達成が大きく遅れてしまうでしょう。
寛容さ:メンバーの声を聞き入れることも大切
目標や今後の方向性を決めるのはリーダーですが、一緒に仕事をしてくれるメンバーの声も大事です。
たとえば「今の方針では難しい」という声がでたら、少し考え直してから判断をしていきます。しかし、何でもかんでも聞き入れて悩んでしまうと、優柔不断と思われかねません。
メンバーの意見がバラバラで、良いとこどりにもできない状態になった時は、改めて違うことを考えてみたり、強引にでも決定したりすることも大切ですよ。
誠実さ:何かあったときに責任をとることも大事
メンバーの責任をとるもリーダーの大切な仕事です。大きなミスを起こし上司から叱責をうけたとき「この失態は部下がやったことです」と言ってしまうとせっかく築きあげたメンバーとの信頼関係は一瞬で崩壊します。
また、決められた約束事(期限など)をリーダーが無視することはもってのほかです。「あの人は約束を守らない」といった話が流れれば、リーダーの立場を下ろされてしまう恐れもあります。
リーダーの素質は誰にでもある!努力を怠らないで
ここまでリーダーシップの意味や、リーダーの役割と必要な能力についてご紹介してきました。リーダーの素質は誰にでも眠っています。
リーダーとして初めて活動する方は目標を立てる力、視野を広げるような思考力や、相手を考えることができる想像力を養っていくのがおすすめですよ。