今の30代~40代の親世代は、男性が外で働き、女性は結婚すれば仕事を辞め、専業主婦として家庭を守るのが一般的だった時代。
もはや時代遅れの感もある専業主婦ですが、意外にも20代や30代の若い女性たちの間では、専業主婦願望が高まっているというのです。
その背景には何があるのでしょうか?今回は専業主婦のメリットやデメリットも踏まえながら、それについて考えてみたいと思います。
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厚労省の調査では、独身女性の3人に1人は専業主婦を希望
若い女性の専業主婦願望の多さを裏付けるものに、厚生労働省が15~39歳の独身男女に行った意識調査があります。
この調査で、結婚後専業主婦になりたいかという質問に対し、「そう思う」、「どちらかというとそう思う」と答えた女性の割合は34.2%にも上りました。若い独身女性のおよそ3人に1人が結婚後は専業主婦を望んでいると言います。
これらを見ると、特に若い世代で専業主婦願望が高まっているのが分かります。
専業主婦を望む一番の理由は「仕事と家庭の両立の難しさ」
では、若い女性の専業主婦願望の高まりの背景には、どんな要因が考えられるのでしょうか。
「日経ウーマンオンライン」が読者を対象に行った「専業主婦」についてのアンケ―トで、「専業主婦になりたい」と答えた人にその理由を尋ねたところ、上位5位は以下のようになりました。
- 1位 仕事を続けながら家事も育児もやっていく自信がないから(38.9%)
- 2位 結婚したら、家事や育児に専念したいから(24.2%)
- 3位 夫の収入で満足な生活が送れる暮らしを手に入れたい(手に入れている)から(24.2%)
- 4位 家事や育児を第三者に任せるのは避けたいから(23.2%)
- 5位 専業主婦も立派なキャリアだと思うから(21.2%)
こうして見ると、女性の社会進出が進んだ現代といえど、仕事と家庭の両立に難しさを感じている女性が多いということが分かります。
共働きを希望する男性は、約8割にものぼる
女性の専業主婦願望の増加の一方で、男性は結婚後も共働きを望む人が多いようです。
同じ厚生労働省が15~39歳の独身男女に行った意識調査で、結婚後、妻に専業主婦になってほしいかという質問に対し、「そう思う」、「どちらかというとそう思う」と答えたのは、わずか19.3%にとどまりました。
また、昔とは男性の意識も変わり、女性に家にいてほしいと望む人は減り、妻に生き生きと仕事をしてほしいと考える男性が増えているのも、要因の一つでしょう。
専業主婦を望む女性が増えているのに対し、男性の希望はというと、必ずしも一致していないというのが現状のようです。
憧れる人が多いのはなぜ?専業主婦のメリットとは?
では、最近憧れる若者も増えている専業主婦には、どんなメリットがあるのでしょうか?以下にまとめました。
共働きに比べて、体力的、精神的負担が軽くなる
家事分担の意識が進んだといっても、今の日本では家事育児は女性がするものという考えもまだ根強く残っています。
毎日平日の昼間に仕事をして、帰ってから家事と育児をこなすとなると、身体はクタクタ。体力的に負担が大きいため、仕事を続けられない女性も少なくありません。
その点、専業主婦であれば昼間、夫が仕事に出ている時間をフルに使えるため、精神的にも余裕を持って家事や育児をこなすことができます。
育児や家事に手間と時間をかけることができる
家事や育児にこだわりがあっても、働いているとなかなか手が回らず、理想通りにいかないことも多くなります。
料理を毎日手作りしたくても、お惣菜や外食で済ませることもあるでしょうし、掃除や洗濯だって毎日するのは大変です。休みの日にまとめて行う人も多いのではないでしょうか。
子供の成長をそばでずっと見守ることができる
子供が小さいうちは、特に成長がめまぐるしく、毎日のようにできることが増えていきます。片時も離れず、その成長を見守りたいというママも多いことでしょう。
〝家に帰ればママ(妻)がいる〟という安心感を与えられる
筆者が小さい頃は、家に帰ると母がいて、一緒におやつを食べたり、学校での話を聞いてもらったりというのが普通の光景でした。その時は何とも思っていませんでしたが、今から考えると、家で母が自分の帰りを待ってくれていることには、大きな安心感があったと思います。
母が家を守るという価値観は時代遅れなのかもしれません。しかし意外と今の日本でも、家族を支える母や妻の存在は大きい気がします。
やはり経済面でリスクが…。専業主婦のデメリットとは?
メリットもあるとはいえ、やはり専業主婦にはデメリットもあります。以下に主なものをまとめました。
家庭全体での収入が少なくなってしまう
当たり前の話ですが、妻が専業主婦になることで、家庭の収入は二人で働くより少なくなってしまいます。
配偶者の収入が見込めなくなった時のリスクが大きい
夫が定年まで無事に働いてくれれば問題ありませんが、人生何が起こるか分かりません。離婚や配偶者の死亡、病気、失業などのアクシデントがあった場合、専業主婦では家庭の収入が著しく減少するリスクがあります。
ベストセラーで「専業主婦は2億円損をする」という本がありました。専業主婦になることで外食が減って節約できたり、また子育てが落ち着いたら再び働き始める人も多いので、2億円という額が皆に当てはまるわけではないとは思います。
引け目を感じて、自分のためにお金を使いにくくなる
専業主婦は立派な仕事だと筆者は思いますが、外から収入を得ていないことで、配偶者に対し引け目を感じる女性は多いようです。
社会との接点が少なく、孤独を感じることも
専業主婦は働いている人に比べ、社会との接点が少ない傾向にあります。行動範囲も狭く、買い物以外はあまり外出しないという人も。
また仕事では頑張れば昇進や昇給として評価されますが、家事や育児は目に見える形で評価を得ることができません。そのため、達成感を感じることができず、孤独を感じる人もいます。
「専業主婦は楽」という考えは間違い
世の中には「専業主婦はずっと家にいて、仕事もしなくていいから楽でいいね」と考える人たちもいます。またそうした考えから、「楽をしたいから専業主婦になりたい」と望む女性もいます。
しかし子供がいると、専業主婦はまったく楽ではありません。現在、筆者は1歳児の育児中で、在宅ワークはしているものの、ほぼ専業主婦の状態なのですが、子供に3度の食事をさせ、お風呂に入れ、さらに家族の食事や離乳食づくり、掃除に洗濯に買い物と、まったく休む暇がありません。
外で働いていると、勤務している間は話の通じる大人が相手なので、体力的にはしんどいかもしれませんが、むしろ気分転換になる面もあるのかなと思ったりします。
もし「楽だから専業主婦になりたい」と考えている女性がいたら、この記事を読んで再考することをおすすめします。
専業主婦といえど、もしものために能力を磨く努力は大切!
いかがでしたか?アンケートの結果を見ると、専業主婦を望んでいるといっても、子供に手がかかる間だけ期間限定で考えている人が多いように思います。
ということは、育児が落ち着いたら、再び働きたい人も多いということ。しかし、日本ではブランクが長いと、なかなか以前と同様の待遇では雇ってもらえないのが現状です。
専業主婦願望はあっても、専業主婦をゴールと考えるのではなく、自分自身が再び輝く努力を怠らないようにしたいものですね。