仕事の内容や時期によっては、残業をして仕事をこなさなくてはならない場合もあります。人によっては、残業を強制された経験がある人もいるでしょう。
残業の強制は、法律違反や会社の規則違反になる可能性があります。場合によっては、自分がそのペナルティを背負わされる事もあるのです。これを防ぐには、残業に関する法律や規則の正しい知識を持っておく必要があります。
今回は、残業の強制をテーマに、残業に関する法律や、会社の規則が残業に関係してくるケースについて解説していきます。残業の強制を断れるケースについても具体的に取り上げていきますので、参考にして下さい。
Contents
まずは残業に関する法律や規則を知っておこう
残業の強制から自分の身を守るには、残業に関する法律について正しい知識を持っておく必要があります。まずは残業に関する法律や、それに関連した規則の存在を勉強していきましょう。
残業に関する法律
労働基準法では「法定労働時間」という時間が定められています。
法定労働時間は、
- 1日8時間
- 週40時間
とされ、この時間を超えて労働させる場合、企業は労働者と「36協定」という協定を結ばなくてはなりません。
また、36協定を結べば、法定労働時間を超えても働かせていい、という訳でもありません。残業ができる時間には、限度が決められています。この限度は週や月、年によって上限が決められており、それ以上の労働は禁止されているのです。
残業時間の上限はそれぞれ、
- 1週間 15時間
- 2週間 27時間
- 4週間 43時間
- 1カ月 45時間
- 2か月 81時間
- 3か月 120時間
- 1年 360時間
となっており、企業はこれを超えて残業をさせる事はできません。
労働者の場合、この時間を超えた残業を強制されたとしても、残業をする義務はないので断る事ができます。残業を断って減給や処罰の対象になった場合、それを行った企業が法的に罰せられる事になります。
法律だけでなく、会社の規則や労働契約にも注意
法律だけでなく、会社の規則や労働契約で残業の強制が禁止されている場合もあります。特に注意して欲しいのが、派遣社員として働いているケースです。
派遣社員として働いている場合、派遣先の企業が設けている規則だけでなく、
- 派遣元の派遣会社が定めている規則
- 派遣会社と派遣先企業が結んでいる労働契約
の内容も守らなくてはなりません。
これらの内容の中に残業の禁止や残業可能時間の制限がある場合は、それを守らなくてはなりません。この様な場合は、残業を強制されてもそれに従う必要はないのです。
会社の規則や労働契約に従わなくてはならない、という点は、派遣社員以外の雇用形態でも同じです。
会社の規則や労働契約が残業を許している場合、その内容が以下の様になっています。
- 規則や労働契約の内容が、残業がある事を前提としている
- 規則や労働契約の中に、残業できる時間や日数に関する記載がある
この様な内容がある場合は、仕事上、残業があるものとしていますから、法律上の制限にのっとって残業を行うようになります。
会社の規則や労働契約が、
- 残業をしない事を前提としている
- 残業の禁止や制限が明記されている
といった場合で残業をしてしまうと、規則違反や契約違反になってしまいます。
違反した場合、ペナルティを被らなくてはならない可能性もあります。残業を強制されても、断るようにしましょう。
また、普段から会社の規則や労働契約をチェックし、自分の働いている企業が残業についてどの様な規則を設けているかも知っておくようにしましょう。
残業を断れるケースも存在している。強制残業がこれに当てはまるかチェックしよう
法律や規則を見ると、残業をする義務がないケースが存在する事が分かります。残業を強制された時は、その残業をする義務があるかどうかをしっかり判断しましょう。
時間外労働の上限を超える場合
法律上、法定時間はもちろん、36協定で決められた残業可能時間を超える残業は断る事ができます。残業可能時間を超えているのに残業をするよう命じられた時は、断るようにしましょう。
これをチェックするには、普段から自分の残業時間をチェックしておく必要があります。
- 法定時間内での労働
- 法定時間を超えた後の、残業に当たる労働時間
の2つの労働時間をメモしておき、定期的に残業の上限時間を超えていないか確認する習慣を身に付けておきましょう。
健康や私生活を害する場合
- 度重なる残業で体調を崩した
- 病気や怪我をしているが、残業のせいで通院が出来ない
- 残業のせいで家族の送迎が出来ない
- 残業のせいで学校に行けない
等、残業があるせいで健康やプライベートにも悪影響を与えてしまう場合があります。この様な場合も、残業を断る事ができます。
仕事はあくまでも生活の一部であり、それ以外の部分を侵害してまでこなすものではありません。
- 自分の健康や重要な用事をこなせない
- 残業のせいで家族にも悪影響が出ている
といった場合は、きっぱりと断るようにしましょう。
業務上必要ない残業の場合
- 自分の業務は終わっているが、他の人が残業しているので残っている
- 残業する必要はないが、上司の指示で残らなくてはならない
といった、業務上必要のない残業も、断る事ができる残業です。
残業とは本来、
- 自分の仕事や他の人の仕事をカバーする
- 取引先等の関係上、業務外の時間を使う必要がある
等、仕事上のどうしようもない事をカバーするために行うものです。
特に理由もない状態で残業をするのは会社にも迷惑をかけてしまいます。これを上司が共用すれば、パワハラになる可能性もあるのです。必要のない残業はしない、命令されてもきちっと断るようにしましょう。
残業の強制は法律や規則違反になる事も。しっかり断れるようになろう
残業の強制は、法律違反や規則違反になります。場合によっては、残業を命じた企業だけでなく、残業をした自分にもペナルティが発生してしまう事もあります。
これを避ける為にも、普段から残業に関する法律や規則について、正しい知識を得ておきましょう。
また、残業を強制された時、特に残業を断れるケースでは、しっかりと断る事も大切です。残業の仕方や時間によっては、自分の健康やプライベートだけでなく、周りの家族も影響を受ける場合があります。
自分や周りの人を守る為にも、断る時はしっかりと断りましょう。